・仙腸関節折衝
仙骨と腸骨の間でつくられる仙腸関節のズレによることで
生じる腰痛。
仙腸関節の異常可動により、周囲の靭帯が緊張し、
仙腸関節の鈍痛を訴えます。
この痛みは長時間の立位や坐位により出現し、
時に大腿前面などに放散痛を生じます。
他の腰痛のように運動(体動)時ではなく、
長く立っていると次第に痛くなってくるといった傾向があります。
また圧痛や硬結が見つかりにくく痛む部位が不明瞭です。
理学検査では、ニュートンテスト、パトリックテストが陽性になります。
パトリックテストは、股関節に異常があった場合、
仙腸関節にストレスを掛けられず、テスト不能となることもあります。
鍼灸での治療法は、患側を下に側臥位になります。
左右上後腸骨棘を結んだ線の中央(脊柱棘突起部)と
患側上後腸骨棘を結んだ線の中央が刺入点です。
ベッド面に対して45度の斜刺で刺入。
鍼は腸骨と仙骨の間に入ります。
仙腸関節にあたったところで置鍼。
効果を高めるため、
雀啄をしながら健側の下肢の屈伸(5回程度)をします。
その他、自分出来る方法として、
太目のゴムバンドを仙腸関節部に巻き、立位で腰を回します。
これは仙骨と腸骨の適合を良くしようというものです。
PS:仙腸関節の件は、腰下肢痛のところでも出てきます。
これは仙腸関節のずれによる痛みが、
下肢へ放散することもあるということです。
腰下肢痛と一般的にいいますが、
解剖学的に細かく見れば、腰部、側腹部、仙骨部、臀部に
分けられます(ここでは大腿部より下方は除きます)。
仙腸関節異常の局所的な痛みは、仙骨部や臀部に出ますが、
広い意味で腰痛に分類します。