慢性腰痛5 | 治る力

治る力

鍼灸・マッサージを生業にしている者が思うことを
綴ります。ときに前向きに、ときに後ろ向きに

・仙腸関節折衝

仙骨と腸骨の間でつくられる仙腸関節のズレによることで

生じる腰痛。

 

仙腸関節の異常可動により、周囲の靭帯が緊張し、

仙腸関節の鈍痛を訴えます。

この痛みは長時間の立位や坐位により出現し、

時に大腿前面などに放散痛を生じます。

他の腰痛のように運動(体動)時ではなく、

長く立っていると次第に痛くなってくるといった傾向があります。

また圧痛や硬結が見つかりにくく痛む部位が不明瞭です。

 

理学検査では、ニュートンテスト、パトリックテストが陽性になります。

パトリックテストは、股関節に異常があった場合、

仙腸関節にストレスを掛けられず、テスト不能となることもあります。

 

鍼灸での治療法は、患側を下に側臥位になります。

左右上後腸骨棘を結んだ線の中央(脊柱棘突起部)と

患側上後腸骨棘を結んだ線の中央が刺入点です。

 

ベッド面に対して45度の斜刺で刺入。

鍼は腸骨と仙骨の間に入ります。

仙腸関節にあたったところで置鍼。

 

効果を高めるため、

雀啄をしながら健側の下肢の屈伸(5回程度)をします。

 

その他、自分出来る方法として、

太目のゴムバンドを仙腸関節部に巻き、立位で腰を回します。

これは仙骨と腸骨の適合を良くしようというものです。

 
PS:仙腸関節の件は、腰下肢痛のところでも出てきます。
れは仙腸関節のずれによる痛みが、
下肢へ放散することもあるということです。
 
腰下肢痛と一般的にいいますが、
解剖学的に細かく見れば、腰部、側腹部、仙骨部、臀部に
分けられます(ここでは大腿部より下方は除きます)。
仙腸関節異常の局所的な痛みは、仙骨部や臀部に出ますが、
広い意味で腰痛に分類します。