私のキミ (プロローグ) | 朔々話。

私のキミ (プロローグ)

生きるって一体なんだろう?


私は、キミの言葉を忘れない。


キミがここに来たのは、どれくらい前なんだろう。
私たちが出会った日のことを、きっと、キミは覚えてないだろうね。


キミが始めて私をその目で視たのは、いつだったんだろう。


思えば、キミのことを聞いたことってなかったのかな。
もう少し、色々聞けばよかったね。

キミは、どんな色が好きだった?


キミは、何を見たかった?


キミは、どこに行ってみたかった?



キミは、私を好きだった?


・・・なんてね。



キミはよく質問したよね。

実はちょっと面倒なときもあったんだ。

適当に、答えてごめんね。

キミはいつも真剣だったのにね。



これは、何ていう名前?


これは、食べられるの?


これは、本当にあるの?



これは、生きているの?



キミに色んなことを教えること。
それを繰り返す毎日。同じようで違う日々。

私、楽しかったよ。



いつだったか、キミは、独り言みたいに小さな声で、こう言ったよね。


生きるって一体なんだろう?

その時の私は、答えることができなかった。
きっと、今の私にだって答えられない。

だから私は、これからもずっと探していこうと思うんだ。


その答えを。

キミのいない、この大きな世界で。



きっとそれが、キミの心を見つける鍵になると思うから。