メメント・モリ
わたしが彼と一緒に暮らすのには理由がある。
寂しいからだけじゃない。浮気の心配なんかどうでもいい。
どちらかがなんらかの理由で死の淵に立つ時、必ずそばにいなければならないからだ。
たとえ一日でも離れ離れになるべきではない。
事故に遭ったならすぐに駆けつけられる場所にいたい。
どうしようもない自然災害に襲われて死する時には必ず一緒でなければならない。
ほんとは出張も旅行もどこにも行かせたくない。
二人での旅行はいい。今ならなにが起きても一緒に死ねると思うから。
東京なんか、地震がきたら絶対死ぬよ!
それが自分の身にだけはふりかからないなんて誰にも断言できない。
そんなところに何ヶ月も一人で暮らすなんて、絶対に許せない。
籍を入れていなければなにかがあった連絡さえわたしのところには来ない。
以上の理由からわたしは彼と一緒に暮らさなければならない。
もう一人では眠れない。