アメノミナカヌシの名称・神格・ご利益
名称
古事記 | #天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ) |
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日本書紀 | #天御中主尊(あめのみなかぬしのみこと) |
別称 | #天之御中主命(あめのみなかぬしのみこと) |
神格
造化三神 | 別天津神 | 宇宙の根源神 |
最高神 | 始源神 | 究極神 |
眼病の神 |
ご利益
招福 | 厄除け | 安産 |
長寿 | 出世開運 | 学業上達 |
技術向上 | 金運 | 病気治癒 |
中風病退除 | 養蚕守護 | 海上安全 |
関連神
八百万の神の中で初めて出現した神さま
出典:Wikipedia
造化三神の一柱であり、別天津神(ことあまつかみ)の第一柱。神名の「天」は宇宙や天空、「御中」は崇敬を込めた中心、「主」は主人や主君を意味しており、文字通り宇宙の中心に在る神さまです。
出典:Wikipedia
天地の初めに成った三柱の筆頭神であり、『古事記』には高天原に最初に出現した独神(ひとりがみ)とされます。(独神=性別がない、もしくは不明の神)
宇宙の根源神であり、宇宙そのものや宇宙エネルギーを表しているともされます。
『古事記』冒頭の記述
これ以降アメノミナカヌシ神に関する記述がなく、歴史上何らかの氏族や集団に祭られた形跡が殆ど見られません。また、『延喜式神名帳(全国の神社一覧)』にもアメノミナカヌシの名や祭った神社の記載がありません。
こうしたことから、実際には古くから信仰されてきた神ではなく、『記紀』が編纂された時代に観念的に創出された神とも考えられています。また、その成立には道教の影響を濃く受けていると言われています。
世界や人との関わりを持たない閑職神
神話の冒頭にだけ登場するアメノミナカヌシノは、その崇高さゆえに人々が安易に祭らなくなり、実際的な祭祀の無い「閑職神」とも考えられます。
閑職神とは、宗教学用語で「世界や人間と具体的なかかわりをもたない最高神的存在」を指します。
あまりにもこの世から隔絶した存在であるため、人間の日常生活に干渉することがほとんどない至高の神ですが、世界中の多くの民族に共通している信仰です。同じように至高の存在ながらも信仰が失われた「天空神」とも重なります。
アメノミナカヌシが最初の神として重要な位置に置かれている理由も様々な考察があります。高天原の支配者でアマテラス大神や、地上の支配者である天皇が象徴化された存在として冒頭に置かれたとする説。
高天原・皇室に関係する「高御産巣日神」と、出雲と関係する「神産巣日神」との対立、あるいは「天つ神」と「国つ神」との対立の統一を示すとする説です。
至高の存在とされながらも信仰対象とされる場面が少ない「目立たない神さま」でしたが、様々な神道流派でアメノミナカヌシを神々の体系の中心的な神格と位置づけ、全智全能を備えた至高神とする考え方は共通しています。
妙見菩薩と習合したことで広く信仰を集める
出典:天之御中主神「日本の神々辞典」
神話に登場する神さまは、時代によってその表情を変化させることが多いです。
アメノミナカヌシ神も同様で、近世以降、仏教と習合して「妙見さん(妙見菩薩)」と呼ばれ、多くの庶民に親しまれるようになりました。
「天の中心の至高神」という性格が、道教の影響を受けた北極星信仰と結びつき、日蓮宗において盛んになった妙見信仰と習合したとされます。
妙見信仰は北極星や北斗七星を崇めるもので、北極星を最高神として神格化し、仏教の菩薩の称号を与えられて妙見菩薩と呼ばれるようになります。妙見菩薩のもつ全知全能の性格によって、衆生の苦しみが救われるというのが妙見信仰。
平田篤胤の復古神道において、アメノミナカヌシは万物を司る最高位の神、そして北斗七星の神と位置づけられました。その影響から、明治維新の神仏分離令により「菩薩」を公然と祀れなくなった多くの妙見神社の祭神がアメノミナカヌシに改められました。
埼玉県の秩父神社や千葉県の千葉神社、岩手県の九戸神社や熊本県の八代神社はアメノミナカヌシを祀る代表的な妙見社です。妙見さんとしてこの神を祀るのが妙見社(宮)で各地に存在し、星祭りの信仰があります。
また、安産や子育ての神さまとして有名な水天宮にも祀られています。水天宮系は、本来アメノミナカヌシと無関係でしたが、幕末から明治の前後に水天宮系の神社で新たに御祭神として加えられた例が数多く見られます。