電車の中で出会った、この本を熱心に読んでいる男の子。
何度も何度も音読しては、お母さんに
「恥ずかしいからやめなさい!」と注意されている。
そのお母さんの対応に多少疑問を持ったものの、
彼の本に向ける真剣なまなざしは波が風と太陽で輝くようにキラキラしていて
とってもまぶしくてつい目を細めてしまう。
「ぼくのしあわせは
ぼくが ぼくらしくあるってこと
じぶんが いま いきてるってこと!」
一通り読み終わった後、
ぼくってなんだろう。
と彼は何かに取り付かれたようにつぶやいた。
「ねー、おかさん、ぼくってなに?!」
「ぼくは○○○(男の子の名前)でしょ!」
私はお母さんの対応にまたげんなりしながら、
男の子を横目でちらっと見て乃木坂の駅を降りる。
無表情にお母さんをみつめて、絵本を大事そうに両手で抱える彼。
しあわせってなんだろう。
彼の「ぼくってなんだろう」という疑問は、
非常に重要な論点でありこの本の抜けている穴でもある。
「ぼくがぼくらしくあることがしあわせならぼくはなんなんだろう」
この思考をとめたくない。