計画停電の間、S君の教科書の名前を書かせてもらいました。

もう高校生になるのに、親が名前を書くなんて、と思われるでしょうが、

こんな時だから書きたかったんです。


私の母は50歳で急死しました。私はまだ結婚してなくて一緒に暮らしていたから、

母から手紙をもらったことがありません。

結婚してずいぶんたってから、形見にもらったハンドバッグを

「そろそろこんなのを持ってもおかしくない年かな。」と使ってみました。

すると、ポケットからなつかしい母の字の買い物メモがでてきました。

思いがけず母から手紙をもらったようで、涙がとまりませんでした。


手書きの文字のぬくもり。

子どものころ、ワンピースの残り布でつくってもらった巾着袋には、

旧姓の名前がひらがなで書いてあります。

古いワイシャツを切って、「字が下手でごめんね。」といいながら

名前を書いてくれた母の姿を思い出します。


だから、こどもが幼稚園にあがる時、お名前シールとかステンシルとか使えませんでした。

「なくしてこまりませんように」

「おともだちにはやく名前をおぼえてもらえますように」

ひとつ、ひとつ、祈りをこめるようにして書いたっけ。


高校の教科書、副教材あわせて、なんと41冊ありました。ビックリマーク

しかも、うちの苗字32画もあるんです。

思ったより 大仕事でした。


ペタしてね