「収容所から来た遺書」辺見じゅん | よさこいの夏

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2023年12月からこちらへ引っ越しました。

Img_20230502_0001 昨年12月に映画「ラーゲリより愛をこめて」を観てすぐに図書館に予約した原作本の順番がやっと回ってきました。
これがノンフィクションであることに驚かされます。
辺見じゅんさん。
本を読み終えて、今、プロフィールを検索して、この方が女性だということにまたまた驚きました。
昭和14年生まれ。生きておられたら84歳。
先日、発刊した「戦火のなかを生き抜いて」を作った先生方よりお若い。
2011年に72歳で亡くなられています。

この「収容所から来た遺書」の他に、
「昭和の遺書~南の戦場から」
「戦場から届いた遺書」
「男たちの大和」など、戦争の時代を生きた人物をモチーフにした作品をいくつも書かれています。
「男たちの大和」も映画化されています。

二宮和也くんが演じた山本幡男という人がどれほど人間味あふれる魅力的な人物であったのか・・・
病に倒れ、ついにダモイ(帰国)を果たし得なかった彼の4通の遺書は、なんと彼を心から慕う仲間たちの記憶に刻み付けられ、日本に届けられたのだ。
「本文」、「お母さま!」、「妻よ!」、「子供等へ」。
ノートも手紙も、書の全てが没収されてしまうソ連の監視下で、遺書を持ち帰ることは不可能だった。
でも、記憶の中に留めておけば、その人が生きて帰れさえすれば、その遺書は山本幡男の家族に届けることができる。
仲間たちはそう考えて、何人もの有志が、彼の遺書を記憶したのだ。
句会を開くことで、仲間を勇気づけ続けたその山本の句や詩も何人もの仲間が記憶に留めた。
そして、帰国後に、山本幡男の家をそれぞれが訪ねて、その遺書や句を届けた。

 

全ての日本人がソ連から帰還できたのは、なんと戦争が終わって11年が過ぎた昭和31年。
60万人もの日本人が極寒のシベリアの1200ヵ所もの収容所で強制労働させられ、そのうち7万人もが亡くなったと言われているそうだ。

 

希望と愛情に満ちた4通の遺書。
中でも4人の子どもたちに綴られた遺書には、
日本の国がこれからどう進むべきなのか、
若者たちは何を目指していくべきなのかという指針が示されている。
日本の全ての子どもたちの机の前に書いて貼っておきたい!

この本を、「ラーゲリより愛を込めて」という映画に仕上げた瀬々敬久監督も素晴らしい。
長い物語をうまくまとめて分かりやすく映画にしていた。
この原作を2時間ほどの作品としてまとめるのはさぞ難しかっただろうな?

本は単行本が出たのが1989年。私が借りた本は2011年の第14刷。
あとがきには長男の東京大学を始め、4人のお子さんたちがそれぞれにトップクラスの大学を卒業し、社会で活躍していることも添えられていた。

戦後78年。
これはぜひ読んで欲しい一冊です。
折角、半年近くも待って図書館で借りて読んだのに、誰かに読んで欲しくてメルカリで購入してしまった私。
お貸ししますよ~。