"ヘドヴィグ・アンド・ザ・アングリーインチ" 

というミュージカルがあります。

2001年には映画化もされ、日本でもヒットしました。

共産主義体制下の東ドイツからアメリカに亡命するために

性転換手術を受け、米兵と結婚した青年ヘドヴィグの愛の物語。

タイトルの ”アングリーインチ” は

手術の失敗により1インチ程残ってしまった男性器の痕跡。

それが原因で恋人にも去られ、作った曲も盗まれ、途方に暮れるヘドヴィグ...

劇中で彼女がうたう歌はとてもせつなく、心の深い場所に響きます。

特に ”Origin of Love (愛の起源) ” には胸を鷲掴みにされる。

この歌は古代ギリシャの哲学者 プラトンの 「饗宴」 の中で

アリストパネスが語った物語からの引用。


この世のはじめ、人間は顔は2つ、手足は4本あったそうだ。

ちょうど2人の人間が背中合わせにくっついた状態で性は3種類あった。

ひとつは男と男の結合体、ひとつは女と女の結合体、そして男と女の結合体。

やがて彼らは神に反乱を起こそうとし、

怒った神は人間を真ん中から真っふたつに切り裂いてばらばらにした。

それ以来人間は失われた片割れを探し求め、

再び元の完全な形に戻りたいと欲するようになります。

これが愛の起源です。

そして  ”どんなに抱きしめあっても決してひとつにはなれないさびしさ” は

ふたつに引き裂かれる前、欲望が完全に充足した結合体への郷愁



今回私が体験した ”ヘドヴィグアンドザアングリーインチ" は

舞台をオリジナルの東ドイツから一新し

3・11から数十年を経た近未来の日本

立ち入り禁止区域の壁の中にあるスラム街が舞台となっている。


上演台本・演出:大根仁

出演:森山未來 後藤まり


大根さんは "去年ルノアールで" からずっとファンだった。



面白かったー

そして森山未来さんのパフォーマンス力の高さに感動

興奮が冷めません。