昨日「あすなろラボ」という番組で、東進ハイスクールの林修先生の子育て主婦への授業が放映されていました。
ＴＶ番組だからだと思いますが、授業を受けているお母さん達の質問が手厳しかったり、返答に困るような質問が結構多いのです。それに対して、真摯な態度で向き合おうとする姿勢、なるほどと思わせる解答に、さすがだなと思いました。
その中で、あるお母さんがこんな質問をされていました。
「うちの娘は何をするのも時間がかかる。宿題をするのにも、他の子が３０分でできる問題も、１時間以上かかってしまう。それを見てると可愛そうな気もするし、イライラしてしまうこともある。どうすれば良いのでしょうか？」
別のお母さんからはこんな話もありました。
「宿題をしている時に、子供がわからないから答えを教えてくれという。 すぐに答えを言いたくなるけど、どうすべきなんでしょうか？」
そんな質問に対して、ご本人の経験談を含めた林先生の答えが印象的でした。
「僕は、学生時代に通学している時、バスの中ではいつも、難しい数学の問題を頭の中で解いていました。行きのバスで解けなかったら、帰りのバスの中でも考え続けて、１つの問題を解くのに２週間かかったこともありました。 考えるのが好きで、そんなわからない問題に出会うのが楽しかったんです」
この話から、林先生がお母さん達に伝えたかった事は、
わからない時間に意味があって、わからないことに価値がある。
わかる問題をやっても意味がないし、考える力が身につかない。
早く問題を解くことより、じっくり考えることが何より大切である。
そして、お母さんには、
「わからない事を褒めてあげて、わからない時間を共有してあげて下さい。」
そんな風に話されていました。
これは、私自身もそうなので、全くエラそうな事を言える立場ではないのですが、わからない事があると、考えるよりも、すぐに正しい答えを求めてしまう傾向にある人が多いように思います。
特に近年は、インターネットのおかげで、何かわからない事があったら、ネットで検索するとすぐに答えが見つかるし、yahoo知恵袋などを使えば、すぐに誰かが親切に答えを教えてくれます。
本当に便利な世の中になりましたが、その便利さと引き換えに、私達は、「考える力」を失っていっているのかも知れません。
私自身も師匠に対して、安易に質問したり、わかりませんというと、こんな風に言われることがあります。
「その質問をする前に、あなたはその問題について、ちゃんと考えたり調べたりしたですか？考えて考えて考えた上でわからないと言ってますか？わからないという前に、一体どれ位考えましたか？何十時間、何百時間、考えた上でわからないと言ってるんですか？」
そう言われると、ぐうの音も出ません・・・。
そう、「考えが足りない」のです。
考えないと能力は上がらないし、考える時間に価値がある。
勉強が出来る、出来ないは別として、「頭のいい人」と言われる人は、考える力がある人で、これまで沢山の事を考えてきた人なのだと思います。
そして人が、どんな時に、一生けん命考えたり、深く考えられるようになるのか？と考えてみると、
何か、自分がとても理不尽な体験をしたり、逃げられない環境で不快な体験をしているとき、強制的に、「何故なんだ、どうしてこうなるんだ、一体どうすればいいんだ」と、深く考えさせられているのではないでしょうか？
そう考えると、考える習慣を身に着けておかないと、理不尽な体験をして強制的に深く考える力を鍛えさせられるのではないかと・・・そんな風にも思います。
だとすれば、考える力を養うということは、勉強だけではなく、人生を幸せに生きる為にも、とても大切なことだと思います。。
そんな風に考えると、何の為に勉強するのか？という意味も変わってくるように思いますし、良い成績を取る為に勉強しなくちゃいけない。という価値観も変わるような気がします。
実際には、日常生活で数学の問題を解く必然は通常ほとんどありません。しかし、数学に限らず、解けない問題を考え続ける、その力を鍛えることが、考える力を養うことになり、それが幸せに生きる為に役立つ力になるとすれば、一見大人になって役に立たないような問題を解くことも、とても価値のある勉強なのだと思います。
過去の収録分がありました。
林先生ＶＳ不良の生徒達
林先生 ＶＳ 子育て主婦
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