この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)/西原 理恵子

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以前、TVのドキュメンタリーで西原さんの特集を

みたことがあります。

この本も前半は西原さんの半生について書かれていました。

お金のない地獄を味わった子供時代。ギャンブルにあけくれ、

アルコール中毒の父親が、大学受験の日に自殺をする。

母親の持たせてくれたなけなし100万円を持って上京し、

美大を受験し合格。お金になる仕事なら何でもこなしながら、

絵の仕事を始めた・・・。


西原さんの実体験が赤裸々に歯に衣着せぬ言葉で、

描かれています。経験してきたからこそ書ける表現だと思いましたし、

綺麗ごとではなく、お金を稼ぐということ、生きるということ、

働くということ、について考えさせられる一冊でした。


西原さんと比べたら、全然大した苦労ではありませんが、

私自身も過去、お金がないことへの絶望感や不安や悔しさを

経験した事はあります。

少し、自分の話に触れますが、

幼少時代、うちの家は父が自営業で、

当時は商売も上手くいっていたので、

それなりにゆとりのある生活をしていました。

そして、私が中学生の頃でしょうか・・・、父が知り合いの借金の

保証人のハンコをついてから、家の様子が変わってゆきました。

更に父の仕事も不景気で収入は減る一方、

それに対し借金は膨らむ一方でした。

もともと会話の多い家族ではありませんでしたが、

更に家族の会話がなくなりました。

そのうち、金融会社から、督促の電話が度々かかってくるようになりました。

怖そうなおじさんが家の周辺に来たり、知らないおじさんが家にやって来たりで、

恐くて私は、部屋の中で息をひそめていました。

その後、誰かがやってきて、家財道具に赤い紙を貼って帰りました。

差し押さえのシールでした。

私がコツコツ貯めてきた貯金も、ほぼ全て父の借金返済に消えてなくなり、父を恨みました。

父は肝臓を患っていたので、ストレスから更に悪化し、

気付いた時には、余命6か月の末期ガンでした。

借金のせいで父の性格は変わりましたし、そして亡くなりました。

かなり、はしょって書きましたが、父の借金から亡くなるまでの10年位、

本当に色々な事がありました。

おそらく、人生の中で1番大きな絶望感もこの時期に味わったように思います。

以前なんかのドラマの名セリフに、

「同情するなら金をくれ」というのがありましたが、

当時の私もそんな風に思ってましたし、絶対に貧乏は嫌だ!

という思いが私の心に深く刻まれたと思います。

とにかくお金を稼ぎたい、お金が稼げるなら何でもしよう…

そんな風に過ごしていた時期もあります。


今振り返ると、その経験が自分を強くしたし、

これまで出会ってきた尊敬する師匠達との出会いにも、

必要なカルマだったと思いますし、

今自分のやりたい仕事が出来ているのも、

両親の不遇な人生のおかげだと思います。

こんな風に自分の過去を、何だかちょっと偉そうに書けているのも、

この体験が自分の人生の宝物になっているからだと思います。

様々な不安やしんどい事があっても、あの頃に比べたら…と考える事も出来ます。


著書の中に、カンボジアのスモーキーマウンテン(ごみ山)に住む子供達の話が書かれていました。

ここから、また少し長くなりそうなので、続きは明日のブログに書きたいと思います。





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