数日前、大好きだった富本さんが天国へ逝きました。
13年前に仕事場の上司として出会った富本さん。
当時 私が21歳、富本さんが59歳。
若くて無知な私はがむしゃらに働いた。
富本さんは厳しい事業部長だったらしいけど
私はあまり覚えてない。
いつもとびきりオシャレで、ビジュアル管理が完璧。
ハット、メガネ、ストール、白髪の混じった髭、散髪したての髪、綺麗な靴、自分サイズに裾上げしてあるボトム、裾からチラ見えさせる柄の靴下、タイトなジャケットに、カラー統一されたコーディネート。
道を一緒に歩くとなぜかこちらの気分が上がるおじいちゃん。
富本さんは私のことをいつも "娘"と言うけれど、うちの親とは10も離れてるし私はどちらかと言うとおじいちゃんと思ってきた笑
アパレルにいたくせに服に興味があまりない私は適当な格好で待ち合わせると、"俺と会うのにその服で来たのか?"とブチ切れられたことがある😅😂
"Tシャツはjames perseくらい買えよ"、って。
富本さんと歩くと、いつも振り返る人がいる。
こんなオシャレな人はなかなか居ない。
私がブランドを離れて、会社をやめても交流は続いていた。
ここ数年はたまに連絡をとってランチしたり、オフィスに遊びに来てくれたり。
10年以上経っても仲良くしてくれて、元気で居てくれて、変わらずおしゃれで、自慢の元上司だった。
去年の10月ごろ 、また再会して富本さんはたぶんワケが分かっていなかったけれどSNSをやる提案に乗ってくれた。
頻繁にラインでやりとりして、会って撮影をして、Tiktokは投稿3日目でバズって富本さんも私も大喜び。
いつかなにかになればいいなってそう思って、マイペースに楽しみながらやってきた。
今ではTiktokで75万回再生を超える動画も出てきて、TikTok内ではちょっとした有名人。コメントは数百件、いやそれ以上きていた。きっとファンの方もいたと思う。
初めは時間がかかっていた撮影も、自らコーディネート画像を自宅の床で事前に撮ってきてくれて、効率をあげるのに工夫してくれていた。改めて富本さんの適応能力はすごいなと。
いつも会う時は私からたくさんのインタビューをして、いつどこで買ったのかだけではなく、なぜその色なのか、なぜその形なのか、こだわりはどこなのか、そのアイテムの思い出なんかを聞いて、Instagramには載せきれていない、富本さんの知識や歴史をたくさん教わった。
いま、富本さんの私物のことならなんでもわかる気がする。
投稿するときのテキストのベースは本人に書いてもらっていたんだけれど、やり取りもとても円滑だったし、今思えば阿吽の呼吸のような感覚があって、
セレクトして並べた写真は、いつも "最高!"と言ってくれて、"幸は想像通り、いやそれ以上にしてくれる"と褒めてくれた。
同じブランドで一緒に働いていたのはもう10年も前。
思い返せば、あの頃から富本さんはいつも私に期待してくれて、褒めてくれてたと思う。
なにかあるときはいつも "あなたなら大丈夫、いつも活躍を期待してます、これからです、頑張って。と言ってくれた。
応援し続けてくれた人。
そんな富本さんが最後に会った日から約3週間後に亡くなった。
最後のラインは、亡くなる2日前だった。
こんなに頻繁に連絡を取っていた富本さんが突然この世からいなくなった。
生と死は本当に一瞬。
たった一瞬の境で、別の世界になる。
知らせを聞いて、泣き崩れたけれど
時間は過ぎてあっという間に
お通夜と告別式。
親族の方も、10年ぶりに会う元同僚のみんなも
口を揃えてSNSをいつもみてた、元気そうな姿を楽しみにしてた、と言ってくれた。
こんなためにやっていたわけではないし、もっともっと夢ある挑戦をまだまだしたかったんだけど
富本さんと作り上げてきてたSNSは
富本さんの生きた証として
この世に残ることになった。
SNSを開けばまた会える。そう息子さんが最後に話してくれた。
シニア世代のSNSの意味。
会えない家族や友人との近況を知るツール
社会への参加意欲、モチベーション
表情や動きや声を記録した動画
ネットやSNSがわからなくて、劣等感を感じる年配の方は多いと思う。
そんな中で富本さんはこの半年と少し、誰に会っても自分のSNSについて聞かれ、褒められる、と会うたびに嬉しそうに私に教えてくれた。
私にもたくさんの自信と、また新しい発見を与えてくれた。
私のどんな無茶な提案もすぐに受け入れて実行してくれる柔軟で挑戦し続ける富本さん。
インスタライブやりましょーって一言言うと
背景はここがいいねとか、飲んでるコーヒーカップがダサいとか そんな細かい美意識も わかりみが深かった。笑
コメントの受け答えも驚くほどにうまい。
もっともっとたくさんの夢を見たかった。
SNSで夢を叶えられるって富本さんに体現してほしたかった。
もう一回モデルもやって欲しかったな。
本当に亡くなったなんてたぶんずっと信じられないまま生きていきそうだけれど
富本さんが教えてくれたこと、私に話してくれたこと忘れたくない。
もうずっと前から上司でもない、
先輩というかんじでもない、
おじいちゃんでも、お父さんでもない、
友達?それもなんかちがう
タレントとマネージャーのようなかんじ。
言葉では存在しない富本さんと私の関係。
たくさんの経験と愛をありがとうございました。
どうか安らかに。