ジゼル・ペリコの著書
A hymn to life (人生への賛歌) 英訳バージョンが出るや否か読み始めたら...ほぼ一気読みに近い感じで完読
兎に角、途中で止めることが出来なかった
そして読み終えた今、ある種の放心状態に陥っている
日本ではどれだけ報道されただろうか?
色々な凶悪な事件はこの世に山ほどあるけれど...
多分、彼女が経験してほどに恐ろしい事件はこの世にあるだろうかと真剣に思う
彼女は夫から薬物を盛られ10年以上に渡り夫がインターネットで募った男性からレイプされていた
その映像は全部夫のコンピュータに記録され50人を超える加害者がいた
2024年
最初にこの驚愕的なニュースを聞いた時に思ったのは...本当にこの女性は何も知らなかったのか?と
そんなことあり得ない
暴力的な夫に怯えていいなりになることが当たり前になっていたから.....知りつつ我慢してたのかしら?
そんな風に思った自分を今は恥じる
というのは自伝で本人が語るには
お互い一目惚れした相手であり
50年近く連れ添ったパートナーと本当に幸せだと思う結婚生活を送っていたとの描写が繰り返し書かれている
途中で一回離婚するけれどそれは相続税対策のための虚偽離婚であり事件が発覚する直前にもう一回結婚し大きなパーティーを開いている
周りの誰もが(パーフェクトカップル)と羨む結婚生活を送っていた
また彼女は学歴はないものの勤勉で賢く勤めている会社でそれなりの地位も得ていた
夫婦で誰もが抱える金銭、子育て、キャリア、浮気などを乗り越えてやっと辿り着いたフランスの美しい田舎町での幸せな引退生活
ただ時々
記憶がブラックアウトする
気がついたらベッドで何時間も眠り続ける
彼女は自分がアルツハイマーにかかっているのでは
脳腫瘍を患っているのではと思い悩み何度も病院で検査していた
まさか自分が夫に薬を盛られているなんて疑うことすらなかった
幸せな結婚生活を送っていると思っていた彼女
夫がスーパーマーケットで女性を盗撮していることで逮捕された
押収された彼のコンピュータに残された数多くの画像によってこの驚愕的な事件が発覚したのだ
これ!たかが盗撮と流されずきちんと操作が入ったことは凄い だってそうでなければ恐らくマダムぺリコは自分が被害者であることすら知らずに一生を終えたのかもしれない
彼女の書く告白はすごくリアルだ
多分、性犯罪被害者となった人が誰でも通過する
(本当は同意していたのでは)という部分
夫に知らぬ間に投薬されていたのに(合意があったのでは)また意識がない彼女が自然に動く様に見える映像から(これは合意)などと論議がなされ...
自分の裸の身体の描写が何度も法廷で繰り返されることを黙って聞く
悪意たっぷりなメディアの報道から身を避ける術もない
いきなりこの事件の中心にされた彼女にとって現実は悪夢以外の何物でもない
そして彼女の三人の子供達
特に裁判の最中に彼女と娘キャロリンの関係がどんどん悪化する(多分、ジゼルはこの部分にとても傷ついたんだろうと思うけれど...この悪夢の現実の前で何度も癇癪を起こす娘の反応も至極リアルだよなあと思うのだ...だって加害者は父であり彼女の全裸写真も押収されたのだから)
彼女がすごいのは一度も裁判を欠席しなかったこと
彼女は一貫して
(恥ずべき側は性的被害を受けた女性の側ではない
恥ずべきは加害者である)との
メッセージを発信し続けた
そして彼女の裁判の日には自然に裁判所付近に女性が集まる様になった。彼女の勇気に賛同する女性
同じく性的被害者である女性がフランス全土から集まったのだ
彼女は何度も何度も心が折れもう立ち上がることもできないと思う朝があった
そんな時に彼女に力を与えたのは裁判所で彼女を待つ無名の女性たち
そして毎朝 きちんと着替えて身繕いして堂々と出かけて行った。立ち上がり続けることに意味がある
とこの辺りの描写はものすごくグッとくるものがある
小さな勇気は大きな勇気に変わるんだ!
そして
彼女は裁判の最中に
事件の詳細を全て知っている男性と新たなパートナーシップを結ぶ
(事件の渦中で一人暮らしを始めた彼女を外に連れ出そうと友人がアレンジしたブラインドデートで出会ったお相手)
人生で一番大きなどん底にいる時にでも素直に幸せの方向を向ける彼女のパワーはすごいなと思う
多分、わたしだったら絶望し過ぎて立ち上がれないと思うから
彼女の書いた本のタイトル
A Hymn to life 人生への賛歌
このマダムの強さには本当に心打たれるものがある
お嬢さんのキャロリンはM’endors Pasというチャリティ(化学物質でわたしを服従させないで)という団体を立ち上げた
この母娘に平安が訪れますようにと祈らずにはいられないわ
