撮影を終えて


 この日泊まるはずの山小屋までは


 ガリバルディレイクの凍った湖の上を横断する。


 スプリットからシールを外し、テレマーク状態でスライドさせて

 
 氷の上を歩く。


 初めての体験。。。





 






  夕日が完全に沈む前に


  山小屋のカタチだけでも目視しておきたかった。


  すでに21時になろうとしていた。


  凍った湖。


  それでも突然割れる危険もある。


  やっと山小屋らしきカタチが見えた。


  湖から地上へ上がる場所が

  
  氷が解け始めていた。


  カメラマンが先にブーツ一つ分までハマってしまったが


  なんとか上陸。


  私は ストックに全体重をかけて 


  なんとか氷を割る事なく上陸。。。


  なのに、山小屋が


  上陸したすぐそばの小川の対面側にある。。。


  小川は雪解け水で激流していたから渡れない。



  せっかく上陸できたけど、再度 湖のルートを使って小川を避けて


  対面に渡らないといけない。


  数メートル先に山小屋はあるのに。。。


  しかも 視界は暗くなり始めていた。



 


  




  ヘッドライトをつけて


  カメラマンが先に氷の湖に出る。


  うまく氷が解け始めているところをスキーでウォータースライド。


  スプリットで馴れていない私は


  さっきストックを使って渡った場所からゆっくり渡ろうとした。


  自分のラインの氷は弱くなっていると思い、少しラインを外して。。。



  その途端に氷が割れた。


  同時に 数十キロのバックパックを背負ったまま


  全身で氷の湖の下へ沈んだ。


  バックパックが浮いてくれて


  顔が出て呼吸ができた。


  足にはスプリットボード。


  脱ぐ事ができないくらいパニックになった。


  カメラマンが 近くにいてくれた。


  私は「 まずどうしたらいい? 」を連呼した。


  自分では 頭が真っ白になって判断できなかった。


  ウェアの中まで氷水が入ってきていたけど、寒さは感じなかった。



  スプリットボードを履いたままの私をリュックを引っ張って氷の上へあげてくれた。


  (  死ぬかと思ったーーーー ) 


  ずぶ濡れになった私。


  山小屋までの安全な氷の湖の上のルートを探さなければいけない。


  徐々に 肩が痛くなって来た。


  気づいたら 声が震えて 全身震えていた。


  うまく頭が働かなくて

  
  徐々に指先も寒さで震えてバインをはめるのにも苦労した。


  やっと上陸できたそこからの山小屋までスプリットにシールを付け直す。


  ずぶ濡れでシールが張り付かない。


  ツボ足で ボードを置いてとにかく山小屋まで歩いた。





 






  山小屋を見つけた時


 「 助かったーーーーーーーー 」


  全身から疲労感が一気に出て泣けてきた。


  しばらくは寝袋をすっぽりかぶって


  気持ちを落ち着かせた。




  本当にしっかりしたギアを持っていてよかったと思った。


  ウェアもすぐ乾いたし、バックパックの中身の着替えや寝袋も無事だった。


  ポケットに入れていたiPhoneだけは水没。。。


  

  山小屋で時計を確認した時刻 23時。


  長い2日目が終わった。