5つめの車輪
バイト先の事務所に『スタッフ連絡ノート』なるものが置いてある。
店長やベテランスタッフから商品の価格や置場の変更といった事務的なものから、日常的なもの、犯罪対策、あと、おしかりの声等々が所狭し、びっちりと書き込まれ、出勤の際は一同目を通しサインをする、様々な人の怒りやら愛着やらが染み込んだ手強いノートである。
昨日そのノートに店長が“店内の有線放送で演歌がかかったら変えるように”と書き込んでおり、それを見たときに、脳がきゅるんと音を立てた。
単純な疑問。
読みすすめると“演歌が嫌いなわけでなく、店の雰囲気にあわない”と書かれてあった。
店の雰囲気とは。
ふと高級ホテルの洋室にコテコテの日本手ぬぐいが置いてある風景が網膜をぴっと通り過ぎた。
居場所がない。
今演歌の居場所がないのだ。
あるとしてもしみったれた飲み屋くらいのものだ。
スターバックスで演歌かかってたらやっぱりちぐはぐだろうし、ファミレスであっても同じだろう。
この、どうにもならない居場所のなさを考えると、どうしても自分の甘さへと着地してしまう。
心理学や効率や統一性のみを重要視する近代看板が街を占拠している様を見る時と同じような、甘さ。
店長やベテランスタッフから商品の価格や置場の変更といった事務的なものから、日常的なもの、犯罪対策、あと、おしかりの声等々が所狭し、びっちりと書き込まれ、出勤の際は一同目を通しサインをする、様々な人の怒りやら愛着やらが染み込んだ手強いノートである。
昨日そのノートに店長が“店内の有線放送で演歌がかかったら変えるように”と書き込んでおり、それを見たときに、脳がきゅるんと音を立てた。
単純な疑問。
読みすすめると“演歌が嫌いなわけでなく、店の雰囲気にあわない”と書かれてあった。
店の雰囲気とは。
ふと高級ホテルの洋室にコテコテの日本手ぬぐいが置いてある風景が網膜をぴっと通り過ぎた。
居場所がない。
今演歌の居場所がないのだ。
あるとしてもしみったれた飲み屋くらいのものだ。
スターバックスで演歌かかってたらやっぱりちぐはぐだろうし、ファミレスであっても同じだろう。
この、どうにもならない居場所のなさを考えると、どうしても自分の甘さへと着地してしまう。
心理学や効率や統一性のみを重要視する近代看板が街を占拠している様を見る時と同じような、甘さ。