さる博物館にて。
素晴らしい、中国北斉時代の仏像。
確かに素晴らしい、蓮弁座。
上部、ハスの花弁の肉厚な立体感は、唐以降には衰えてしまう表現で、山西省の天龍山石窟と共通する造形感覚です。
下段の浮き彫りも、ハスの花、葉、実のモチーフだと思いますが、これもとてもよろしい。
ところが、肝心の仏像本体は、何となくしっくりこない。
台座の石の色よりも明らかに新しい。
でよく見ると、蓮弁座と、仏像の足が着いている円形の台座とは、微妙に角度がズレてる。
なんか不自然だなぁ、と思ったら、蓮弁座と円形台座の接合部が歪んでるんですね。
つまり蓮弁座と円形台座は別材で作り、のちに接合したことが分かります。
少なくとも一材で彫り出したものではない。
ということは、石の色が新しい、仏像本体は後の時代のもので、蓮弁座だけが北斉という可能性もあり。
はっきり言って、仏像は後補、蓮弁座がオリジナル、と思います。
蓮弁座は北斉のホンモノと思いますので、プレートの説明どおりでいいですが、普通、仏像本体を見ますよね。
この場合、仏像だけ見ると贋作、蓮弁座まで入れると補修した作品、ということになります。
でもみんな、仏像だけ見てますから、蓮弁座だけホンモノだとしても、このプレート表示は問題ありますよね。
古美術の世界では、ホンモノと贋物のさかい目が曖昧です。
半分ホンモノで半分後補なら、補修作品。で通ります。
でも、この仏像みたいに、2-3割ホンモノ、残り後補とするとどうでしょう。
一般客は、仏像の顔を見て、これが北斉仏かぁ、と思いますよね。
それは間違った印象を与えることになります。
少なくとも、プレート解説には、何らかの説明が必要でしょう。
あえて所蔵館名は伏せますが。
(^_^)☆