小説2回目。

テスト明け。
ユウキはいつものように学校から帰って来ました。

テスト明けなので今日は宿題はなし。

帰ったら今まで我慢していた(とはいえ3日間程だけど)
お絵かきをしようとわくわくしていました。

家なら誰も見ていないしね。

この前描いていたジラーチの続き。

ファイルから四つ折りにした紙を広げます。

大きく星のような形が書かれています。
これは頭。

まだ描き始めたばかりだからジラーチともいえない段階。

ジラーチは黄色い星のような大きな帽子を被っていて、
両耳に青い短冊を付けています。

下半身は顔より小さいくらいの大きさ。
2頭身もありません。

お腹に閉じた目がついています。
彗星の流れ星が落ちた時にこの目が開くのだそう。

指は3本。
腕には振袖のようなものがついていて、
お尻には、黄色い帯のような長ーい尻尾が2つついています。

目はくりくり。ピカチュウみたい。
青い逆三角模様がついている。

5分程で下書きが終わりました。
机の引き出しから色鉛筆のケースを取り出し、
黄色の鉛筆を抜き出します。
これから色付けです。

ジラーチはほとんどが黄色。
しかし時間をかけて塗り残しがないよう、
丁寧にぬっていきます。

帽子、尻尾の帯を塗り潰して。

色鉛筆を青に持ちかえる。
目下の模様を青く塗って。

出来上がり。

...

ジラーチ、俺はこの世界が嫌なんだ。

もし、ジラーチが住む別の世界があったら。

俺がそこに行けたなら、

連れて行ってくれないかな?

俺はそこで楽しく過ごしていたい。

ポケモンと仲間になって、

旅とかできたらな。

もしロケット団みたいな悪者がいたら、

俺なら倒せるよ。

「その願い、叶えましょう!」

...

...

は?

「その願い、叶えましょう!」

...

...

後ろ?

...


?!!!!!!!!!

思わずユウキは椅子から崩れ落ち、尻餅をつきました。

目の前に、

漫画の絵に描かれたように、

ジラーチがいるのです。

普通の人ならばこれは夢だと後に自覚するでしょう。

しかし、彼はジラーチの存在を強く信じていました。

とてもとても驚きましたけど、

ジラーチが目の前にいることに疑いませんでした。

ジラーチは本物だと思いました。



「世界は、信じれば存在するんだよ」

...

「ポケモンの世界も?」

「うん」

「あの、あの...」

「うん」

「俺もそこに行ける?」

「本当にポケモンの世界を信じてるなら」

...

「本当?」

「うん、でも本当に信じていないのならば、君にとってのその世界はない。
だから今まででこの世界からポケモンの世界に行った人はいない。」

「...どゆこと?」

「この世界はこの世界に住む人皆がこの世界があるって信じているからこの世界がある。

人が死んだらね..
例えば、仏教だったらお経を唱えていれば極楽浄土っていう世界に生まれ変わるんだよ。

極楽浄土なんて君にとっては、誰かが考え出したような世界だろ?

キリスト信者だったら裁きを受けて神の国っていう所に魂を送られて、この世で復活するのを待つんだってさ。
神の国だなんて、、
神の国も君にとっては誰かが考え出した世界だよね?

それとおんなじ。

ポケモンの世界も、本当に信じこめば、
存在するし、移り住むこともできる。


でも、こんな話をすると
ポケモンの世界に行くことが
死んだことのように思えてくる?

まあ、確かに、行くとするならば
君には生まれ変わってもらうから
死んだっていっても間違いでもないかもね。

でも殺される訳じゃないし、
酷い病気にかかるわけでもないし、
ショック死とかそんなものでもないし?

寿命でもないし?

...まあどう考えるかは君次第だけど。」


「俺はポケモンの世界を信じてるよ」

「まあそうだろね。
でなきゃ君には僕は見えない。」


「むしろ俺はこの今いる世界を信じてない。

というより信じたくないっていった方が正しいのかな。 

友達も、家族もいないし。

いつもぼっち。

ここにいるのが辛い。

だからいつもポケモンの世界のことばかり考えてる。

ポケモンの世界の方を信じてる。

そっちの世界に行きたい。

もし、ここで死んだ、ていうことにしても。」


「なんだか自殺するっていうみたいだな。

でも一応お母さんにも感謝してな。

君に命を与えたことに関しては。

命は一生のものだからね。

それに、ポケモンの世界に、生まれ変わることは命を捨てることじゃない。

まあ、君の願いは叶えてあげる。」


「でも、待って。疑問点がいくつかある。」



続く。