どこへゆくのだろう ~あふたぁ・・・~ | 漁師,ぴんぴん物語 EpisodeⅠ

どこへゆくのだろう ~あふたぁ・・・~

どこへゆくのだろう ~あふたぁ・せんきょ, あふたぁ・こいずみ~


午後には雨もやってきたけれど、それなりに高い投票率(近年のうちでは)だった今回の選挙でしたが、自分も予想はしてましたが、それ以上の自民の圧勝に終わりましたね・・・


今日は、たまには真面目なことを。そう、選挙のこと。


(国際)政治学かじってきた?自分なりに感じたことは三つ。


(1)

今回の圧勝と連関して、小泉後、つまり1年後の任期終了後の自民の路線がどのような進路を取るかが不透明すぎる部分が相当大きな問題だと思うこと。年金・財政・改憲・外交・・・


任期延長論が前々から言われているが、小泉の性格からすると、ルールを変えてまで任期延長しないのではないかと思える(特に今回の延長論を森元総理が言い出しただけに、解散の一件からすると、そうした予想もしやすい)ので、あまり可能性が無いのではないかと思える。結果、あと先一年、内政優先、外交対米安定・対アジア不安定という状態が変わることないのだろう。


どうやら郵政民営化法案通過後に内閣改造を行なうようだが、個人的に関心があるのが外相ポスト。東大の藤原先生が30点、慶應の添谷先生が10点(当然ともに100点満点)という点数をつけた日本外交。対米安定・対アジア不安定という路線は変わるのかどうか、かなり否定的だ・・・(元?)上智の猪口先生が就くかってところだけが個人的に見ものと思っている・・・ただし、それでどうなるってところが不透明なんだけどね。やはり、立派な政治家と立派な国際政治学者は違うから。特に自民には靖国をはじめとする「内政と外交」の強い関係性(もしくは、しがらみ・・・例:遺族会)があるから、外相個人の力量でどうこうというものでもないんだよね。アメリカのキッシンジャーのようになるかどうかなんてのはかなり否定的。


また2/3が自公で達した(郵政反対派の元自民組も含めたら350に近くなる)ので、憲法改正発議に必要な議員数が足りた(今半数にするという法案も準備されてるらしいが)。郵政国家終了後、いよいよ本格的な改憲議論が積極的に開始されることが決定的なんだろう。


(2)

日本がはっきりとした二大政党制になるには、民主の主軸となる部分が脆弱だなと強く感じたこと。これは当然どういった政党政治を志向するかの問題で、二大政党制の必要性は無いという議論も出ることではあるが、前回の参院選でやや現実味が出ただけに、また「政策・理念闘争」が盛んになり、政治の活性化も起こるからという点から期待もあったわけだが、今回の衆院の民主惨敗は、日本における二大政党制の現実化からは確実に遠くなってしまったこととなったと感じる。争論において、全てとは言わないけど、各所ではっきりとした極の違いとその理由を出せない(表現力の問題もあるが)と勝てないよな・・・。もともと「寄せ集め」的な部分があって、その結束力に弱い部分を持っていたのは分かっていたが・・・。

これに関して、後輩がハーバードのE.ヴォーゲル先生(専門:アジア研究)に会うというから「日本における二大政党制の可能性」について聞いておいてと言って、聞いてきてもらったのだが、簡単にまとめれば、ヴォーゲル先生曰く「2,30年は無い。今の民主は自民と大きな面からいって差が無いから。」とのこと。その言葉、かなり現実味を帯びてきた。


(3)

単純化しつつあるような社会に怖さ・・・不安とも言えるものを少し感じたこと。争点が今回のように『単純化』言葉を替えれば『うまくぼやかされた』時に合理的かつ知的な判断が日本社会(人)が出来るかってところ。


今回の選挙で選挙前に、そもそも自民が勝つだろうなと思った理由は「小泉のメッセージ(挙げた争点)が、あまりに単純的であったこと」だった。昨今の選挙では、というよりも、もしかすると選挙というものは、複雑なものよりもあまりに明確なメッセージの方が受けいれやすいし、つまりは判断材料となりやすい。Yes or No(All or Nothing)しかなかった、というよりも、Yes or Noのようにした(?)小泉のメッセージ(否、戦略か?)は、特に「誰に入れるか、決めかねている」無党派層への印象が良い方向に向かったに違いなかった。


結果、自民の大勝だった。でもここまで勝つとは思わなかったが。明らかに民主で堅かった人でも、今回は相当の苦戦をしている。また自民分裂で当初民主に流れると思われた票の多くも、結局自民の郵政賛成派(刺客も含め)に流れていった。


民主は当初において明確なメッセージを出せなかったのが致命的であった。その後は後出しで、確かに自民より明確なものを多く出せたと思うが、それにしてもスタートダッシュで致命的な転び方をしたといえた。こうしたメッセージの「明確化」と民主の「出遅れ」は、政治不信に起因する民主に対する期待を、小泉への期待へと転換させていくのだろう。そういう理由から民主の負け、自民の勝ちが予想できた。


とにもかくにも、小泉の挙げたメッセージの「明確化」いや『単純化』は、選挙民にとって『わかりやすかった』のだ。複雑な議論も大事だが、意外とこうした『単純化』というのが近年の選挙では影響力を持つのだろう。これらの点については今後も考えてみたい。


だが、問題は次の部分と関連する。すなわち改憲との議論である。改憲は、私の考えとしては不可避な問題、つまり必要な部分があると思うが、それは「改憲するべきか、否か」ではなく、「どのような形の憲法に改めるか」である。それは具体的にも理念的(抽象的)にでもある。


近年の議論や今回の選挙における結果(議員数)、また北東アジア情勢の不安定化をうけ、この数年以内に改憲への具体的動きが不可避になるはずである。そうした中で国会における不十分な議論を受けても、国民投票の際に争点が『単純化』され、それに『単純化した反応』を市民が見せることがありえるのではないか。今回の選挙の結果は、そうした不安を強く想起させたものであった。


(20050913追記)

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ただ、今回は郵政という争点だったからこそ通じた「単純化」で、消費税増税や、上に挙げた改憲議論の際は「単純化」は通じない、ということはあるのかもしれない。ただ、やはりそれは未だ判断はつけられない。

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ちょっと簡単すぎますが、こんな感じです。

めずらしく真面目。