ユーモアとリアリティ、そして個性に富む場所(2)
映画な生活は、トンガの記事で触れた「離島」話を
次回掲載に伸ばし、今日は番外編日本ドラマの話・・・
今日、家に帰ってきたら、懐かしいドラマが
やっていました。そこには、ユーモアとリアリティ、
そして個性に富む場所がありました。
先日、そのタイトルでThe West Wingをお薦めしましたが、
今日はその「日本版」とも言うべき、あるドラマのご紹介。
そのドラマの名は「王様のレストラン」
このドラマは、主人公千石(松本幸四郎・・・松たか子のパパ)と、
とある「廃れつつある」レストラン、「腐っている」スタッフが
再生していくというお話。
このドラマは、現実世界でも、このドラマに出演した人々が
その後、テレビドラマ界にて活躍(再生?)するようになった
分岐点であったような気がします。
それにしても、久しぶりみた出演陣は・・・若かったぁ(笑)
西村さんや鈴木京香さん、小野武彦さんとか、本当に若かったぁ。
伊藤さんは残念ながらお亡くなりましたけれど、ショムニといい、
やっぱりあの方の「奇妙な存在感」・・・アメリカで言えば、
スティーブン・ブシェーミ風っていうんでしょうか、格別だったなぁ。
やはり、みなさんがテレビ界での活躍を始めるキッカケとなった
ドラマということができるものでしょう。
ところで以前TWW記事の際に、ドラマには二つの特徴があると書きました。
改めて書けば、一つは、主人公の主人公による主人公のためのドラマ。
もう一つは、主人公と共演者の「競演」があるドラマです。
このドラマは、TWWと同様、後者のドラマと言えます。
確かに千石は主人公ですが、彼はTWWのM.シーンと同様、
「スパイス」を与える役割に過ぎなかった、と言えるかもしれません。
でもそれはとてつもなく、このドラマに重要だったわけです。
そうしたことも含めて、本ドラマの良さは、TWW同様に、
レストランの臨場感という「リアリティ」を広いセットとカメラワークで実現したこと、
そしてレストランスタッフのユーモアに富む演技者を集めたこと、
そして個々の役柄に細かい「設定」を与えたことでしょう。
ただ、TWWと違うのは、TWWは21回という1シーズンの長さに加えて、
アメリカドラマはシリーズ化されやすいという条件であったのに対し、
「王様のレストラン」では、11回という「時間的な短さ」があったことです。
実際、日本のドラマは、11or10回の放映回数という制限があるためか、
キャスト個々人の個性を描ききるまでには至らないことが多いと言えます。
主人公俳優のスター性に依る作品も多いためか、主人公を常に
追いかけて、脇役は脇役で終わる場合も多いといえます。
また時々キャスト個々人の個性を巧みに描いたドラマがありますが、
やはり、走り急いでドラマを描いた感は否めません。
ぎっしり詰め込んだせいで、内容が薄くなってしまう場合すらあります。
またテレビ局により傾向があるますが、セットやカメラワークにも
やや稚拙なものがある場合もあります。
そうした中で、このドラマは「レストラン」という一つの室内に
焦点を絞ったおかげか、11回で、リアリティの持った世界観を
表現することができた、秀逸な作品でした。
それは、脚本を担った三谷幸喜が演劇出身だったことがあるのでしょう。
このドラマはさながら、舞台を見ているようでした。
またドラマの冒頭と終わりに出る、森本レオの謎めいた語りは、
ドラマの次回への期待を膨らませるに十分なものでした。
このドラマ、お薦めです☆☆☆☆☆。
いつかまた、こんな良質のドラマに出会いたいものです。

