韓国対日本という構図(3)~選手活躍度編~
③強豪国での選手の活躍度
では、選手が進出した先で活躍できているか、が問題になります。まぁ、これは来年以降の「選手の進出度」に大きく影響していくものです。これら、活躍・貢献度は、数字で表わせても表わしきれない部分があります。FWはよく得点と言われますが、貢献度はFWでも前線からのチェイシングにあったり、DFでも得点力を求められたり、サイドの選手はディフェンスとアシストなど、多様であったり、結局「数字で表わす」ことは限界があります。よって、ここでは各メディアでの評価、チーム内での評価、チームのリーグ内順位及び対外試合(チャンピョンズリーグ:以下CL、UEFACUP)などを総合的に見てみるほか、ありません。
スペインの二人、大久保と李天秀は、成功しているとは言い切れません。衝撃的デビューだった大久保は、その後鳴かず飛ばず。言語の壁が大きく、戦術理解やチーム内での融合という部分に障害となっているようです。これは日韓両国の選手が常に抱える壁なのですが、それにどれだけ早期に順応するかは、各々の順応性に依ります。順応性が早かったのが、中田という例はよく挙げられますよね。李も大久保同様の状態のようです。彼は以前スペインの別チームに所属していましたが、それでも同様の悩みを抱えている模様。試合にも出られていません。この二人、現在はスペイン残留より、母国Lへの復帰が囁かれています。どうも日韓の選手にとって、スペインは鬼門のようです(苦笑)
イングランドは日本の稲本がいます。アーセナル黄金期に加入した彼も、その後、フラム、WBAと移籍し、怪我の調整もあってプレミア1部(プレミアリーグの下、日本のJ2相当)で調整していました。ですが、WBAに籍を戻したものの、ベンチ止まりの日々で、残留が危ぶまれます。ところで、稲本同様プレミア1部にソルギヒョンという韓国代表FWがいます。彼はベルギーリーグでそこそこの活躍を見せ、プレミア1部に移籍しました。でもプレミア1部での活躍、評価が難しいところです(よって、以下ではJ2相当については評価しませぬ)。
イタリアにはご存知、日本人選手しかいません。中田、中村、柳沢と。その中で試合にコンスタントに出てるのは、中村のみ。柳沢は戦術上の問題で左サイドでの起用が多いのですが、チーム内での評価はそこそことのこと。でも、それは彼のFWとしてのDF力を評価されているのか、「観光客目当て」の評価なのか、非常に微妙なところです。実際、出場試合数は数えるほどです。中田については・・・過去の素晴らしい成績は確かなもの。ただ今はイタリア国内での評価は、過去ほどよくありません。中田自身、以前、某誌で「イタリアにきて失ったもの」があったことを認めています。それが今の彼自身の“長い”不調をもたらしているようで・・・。中村は試合に出て、それなりの活躍をしています。ただ目立った結果を得ているかというと、そこまで大きくはないと評価できます。抱えた肉体的不安もあることも一影響となっているのでしょう。
フランスは、1部に中田浩、2部に松井がいます。1部の中田に関しては、まだチームに溶け込むこと、コミュニケーションに課題が残っているように見受けられます。加入してまもないので、評価する時期にもなってないでしょう。
ドイツには高原がいます。2部には、昔、韓国代表・ブンデスリーガーとして活躍し、後に1998フランスW杯での韓国代表を率いた車範根の息子、車ドゥリがいます。高原は、病気から復活し、主力として活躍しています。HSVのそこそこの成績も彼の活躍に起因しているところはあるでしょう。ただ、どうも「続かない」。点決めては、鳴かなくなる・・・で、思い出して?は点を決める。これが彼の株価を決定的に上げることに繋がらない要因になってしまっています。
ポルトガルは両国選手はいません。昔、中田が「技術は俺より上」と認めていた財前がどこかのチームにいたっけな。
オランダ、ここには日韓両国の選手が1部リーグで活躍しています。今季L優勝したPSVには韓国代表朴智星、李榮杓、フェイエノールトには小野がいます。小野のチーム内での地位は知られたとおり。核になりきっています。ただチームの成績が上がらず、また小野自身の癖みたいな怪我が、やや影を落としているか。あとフェイエは最近目立った結果を得ていません。小野が加入した年に獲得したUEFAカップが最高の成績でした。リーグ内、かつ欧州カップ戦での成績と貢献という両方の意味で、圧倒的なものを得たと評価できるのが、PSVの二人でしょう。彼ら、朴と李は元韓国代表ヒディング(2002日韓W杯4位)によって、PSVに引き抜かれました。去年一年はチーム内での位置疎通に若干問題があったようで、チームメイトからの批判があったりしましたが、今年はそれも改善され、今や主力。このメモを書いている最中に、欧州クラブの頂点を決めるCLの準決勝にて、朴1得点、李1アシストという結果をもたらしました。皮肉にも、『ヒディング+韓国=大会での準決勝敗退』と、日韓W杯の際と同じ結果となりましたが。ただ、小野もメディアから評価が高いのですが、点も取れ、個人技能力も高い朴と李の評価が、それ以上に高い。CLのPSVの快進撃は、ロッペン・ケジュマン(ともにPSVからチェルシーに昨シーズン後移籍)が抜けた中でも、コクーが加入したことにもたらされたまとまりにあったわけですが、そこに良いスパイスとして朴と李の力があったことは、オランダメディアも認めていることのようです。
こうしてみてみると、日本の選手の欧州進出度は高いけれど、決して評価が高くないよう。反して、韓国選手の欧州進出度は低いけれど、その中の質が高い。特に、CLという、国内リーグだけでない「国際経験」を得ていくことが出来る環境に、今は韓国選手のみ、日本選手では過去に中田、小野、稲本がその経験を持つだけという状態にあります。これは、正直、日韓の選手に大きな差になってしまいそう、そんな気すらします。それは、また今後の移籍市場にも大きく影響するためです。
よって、選手進出度と活躍度から見てみると、これまた、韓国優位な状況にあるようです・・・。うむ・・・。

