エッシャー展備忘録の続き。

テーマごとに作品が6つの章に分けられて、第２章は「テッセレーション(敷き詰め)」。

エッシャーは、スペインのアルハンブラ宮殿訪問の際、宮殿の装飾タイルの抽象的な模様を模写している。結晶学者であるお兄さんから勧められた論文にも刺激を受け、具象的な模様の繰り返しで平面を埋め尽くしていく「正則分割」使った作品が生み出していく。

そんな作品の数々を見て思う「どえらい沼りようだね」。

(木版　平面の正則分割 IV　1957）

同じ形の犬(？)のパターンの繰り返しと反転によるデザイン。

(木版　太陽と月　1948)

複数の鳥の繰り返しパターンに、太陽の輝きと夜空の月が表現されている。どーでも良い話だが、この絵を見ていると「同じ形をした＊＊は、どれとどれでしょう？」的な問題を思い出す。

(木口木版、木版　渦巻　1957)

デザインどうこうの前に、魚が可愛い。数学的思考と美的センスに、ユーモアがあってのもの。

(木版　円の極限IV「天国と地獄」　1960)

天使と悪魔が隣り同士組み合わさり、円の外に向かって徐々に小さくなっていく。なんか「陰陽」の世界すら見えてくるわ～。

(木版　蛇　1967)

エッシャーが最後に彫った木版画。晩年まで、正則分割で表現する美しさへの飽くなき探求、挑戦がうかがえる。

そして、テッセレーションから第三章「メタモルフォーゼ（変容)」へ。

(木版　メタモルフォーゼ　II 1939-1940)

分かりにくい上、半分しか写ってない画像だが、文字、市松模様、虫、鳥、魚、チェス、建物などから、また文字に戻る、”循環”を表わした作品。

(リトグラフ　爬虫類　1943)

テッセレーションのトカゲのスケッチから、徐々に立体化し、またスケッチに戻って行く。これも変容と循環。

何かで読んだのだが、この作品には、プラトンが唱えた「4元素説」(宇宙は土、水、空気、火の４つの要素から構成される)が描かれている。サボテンの鉢、瓶とコップ、正十二面体の上のトカゲの鼻息、マッチ箱。哲学、宗教、西洋思想との関わりを紐解いて鑑賞するのも良し、自分なりの解釈や物語を見つけても良いのだろう。

まだ、あと３章あるが、どんどん不思議な世界に迷いこむことになる（つづく）。

エッシャー展(2)