６月下旬、テオ・ヤンセン展鑑賞のために訪れた静岡市。

車では掛川より東へ行ったことがなく、途中、にぃさんと運転を代わり、新東名の120km区間を走るのも初めてだった。

朝7時頃出発、静岡県立美術館へ行く前に、富士山を見ようと日本平へ。

(日本平夢テラス)

隈研吾氏設計の「日本平夢テラス」の３階は展望フロアで、外の回廊も含め、360度のパノラマビューが楽しめる。

雲が多く、くっきりとは見えなかったが、それでも、駿河湾越しに、円錐形の美しいフォルムが見えると、「拝み」に近い心境になる。

富士山が世界”自然”遺産ではなく、”信仰や芸術文化の対象”として世界”文化”遺産に認定されたことに合点がいくような魅力的な姿だ。

お隣の大国からのツアー客が続々といらっしゃるので、早々に切り上げ、静岡県美へ。

少し離れた駐車場から美術館へ続くプロムナードには、12の屋外彫刻作品が点在している。

(「蝶」　掛井五郎氏作)

”天より地上に、再び舞降りて来た蝶”のように美しかったという、作家のお母様の像。

(「風化儀式5ー相関体」鈴木久雄氏作)

石と鉄の関わりが、自然の中で風化する様を楽しむ作品か？石上に生えた草も、自然によるものなのかな。

静岡県立美術館の目玉の一つは、ドーム型の天井が美しいロダン館。オギュスト・ロダンの所蔵作品が32点、常時鑑賞できることだろうか。

(「地獄の門」 La port de l'enfer）

イタリアの詩人ダンテの抒情詩「神曲」の地獄編に出てくる地獄の門をテーマとした作品。

ダンテの神曲の内容すら分からないけど、構想から幾つもの試作を経て、ロダンらしい表現となった”苦しみ、悩む人たち”が刻まれいる門。開けて向こう側を見てみたいと思わないわ。ロダンがインスピレーションを受けたと言われる、フィレンツェにあるギベルティの「天国の門」を見てみたくなる。

門の中央に座っているのは、あの「考える人」。門の上から”地獄へ堕ちる人を見つめ、思案するダンテ像」だとも言われている。

そして門から切り離され、ひたすら考える人。なぜ、そこまで筋骨隆々なのか？

あらためて正面から拝顔。　タイプではない・・・。

考える人は、様々なサイズで複数鋳造されている。地獄の門でさえ世界に7体あるらしいが、一つの石膏型から12体だけ鋳造が許可され、それ以降はレプリカとされる。

(ロダンのサインと、鋳造番号と鋳造数)

彫刻の台座に、鋳造数のうちの何番目の作品かが分かるようになっている。

(バスティアン＝ルパージュ)

ロダンと親交のあった画家の像の足に、なんだか惹かれた。

いかんせん、ブロンズ像にあまり興味が示せず、作品とどう向き合えば興味が湧くのか？自分にはさらに時間が必要かと思う。

その他、所蔵コレクションを数点鑑賞し、ミュージアムショップで1枚のみ発見した、小林清親の木版画「猫と提灯」のポスカを購入。

美術館を出て、駐車場へ向かう途中、朝、美術館で買った可愛いパンで小腹を満たす。

そして、昼食のために目星をつけておいた店へと向かった。

つづく。

富士山とロダン