
ブログネタ:何月生まれ?
あたしは秋生まれの猫だ。
あたしの暮らしていたマンションが建つ半年前からあたしはしばとらと暮らし始めていた。
マンションが建ったのは春。あたしは半年前の秋に生まれまだちっぽけな子猫のまま、迎えに来たしばとらのシャツの中に包まれてドライブをした。
あたしはひっきりなしに鳴いてたし、鳴くたびにしばとらも鳴き声をだしてた。
あたしがごそごそと這い出すようになりしばとらが迎えに来たのが10月の初めごろ、さかのぼって多分あたしは9月半ばに生まれたらしい。
ぴっかぴかの新しかったマンションのちょっと安っぽい壁紙を引き裂いたり、形ばかりで支えになってない柱を情け容赦なく痩せさせたりしながら、誕生月をいくつも迎えた。
二年の間、あたしはさびしがり屋の子猫で、いつまでも出かけたしばとらを呼んで窓から鳴いている世間知らずだった。
ある日突然、小さなくにゃくにゃのものがやってきて、ずうずうしくあたしよりべったりにしばとらのそばにいるようになった。しばとらのいないときには、もっとずうずうしくあたしのお腹の下に平気で入り込んできた。
あたしが踏みつけると、そのたびに鳴くものだから、あたしはフンヅケテハイケナイを覚えた。
ちいさなそれは、あたしをかむたびにつっころばされて、カンデハイケナイを覚えた。
しばとらは、いつでもあたしに世界で一番の猫だといって、美味しいものも、そっとなでるのもあたしが一番だったけど、2番目その猫は、まるっきりそのことをわかろうとしなかった。
