部屋選びで重視することは? ブログネタ:部屋選びで重視することは? 参加中


玄関が広いこと。車いすがぐっと入れるだけの広さがいる。

段差が小さい。車いすをぐっと乗り入れるために。

トイレのドアが右側蝶つがいで外開きである。自宅と同じように。

リビングが広々としている。生活とリハビリを一緒に十分に行えるように。

弐階がある。階段を上り下りするリハビリができる。

階段はころ合いに狭く、手すりがあり、途中に踊り場がある。階段の上り下りのリハビリで、失敗しても下まで頃がり落ちなくて済む。

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大切な家族の食事の介助とリハビリのために、ひとかけらのためらいもなく一年の休暇をとった人がいた。
大切な家族のために、職場すぐ近くにそんな部屋を探し、ためらいなく借り続けたひとがいた。
大切な家族とは引き離されてしまい、その部屋を使えることはなかった。
あまりにも条件がピッタリでまた探せるとは思えず、大切な家族の帰った時のために、使わぬまま年余にわたり借り続けたひとがいた。

あたしの場合に振りかえてみれば、しばとらが、あたしの散歩のために、十分な広さの原っぱを含みぐるりと塀をめぐらした家を借りるようなものだ。あたしが猫とりにとられて、あたしを探して見つからず見つからないまま見つかるかもしれないからと、その家をかりつづけるようなものだ。あたしを探しながら借り続けるようなものだ。そしてあたしがいなくても住むためではなく、あたしがもどらなかった時にはひきはらう、自分にとっての条件をひとつとして含まない、あたしのためだけの部屋をかりつづけるようなものだ。
あたしのために、居心地の良い部屋をかりながら、あたしがいない寂しさに満たされた部屋だ。居心地の良さがそのまま切ない部屋だ。

愛情とはそのようなものだ。