昨日は朝から霧でダイヤが乱れまくりだったらしい。
遅れてやっと出る列車に乗り一駅行ったところで、二人は乗り込んできた。
二人掛けの向かい合わせになったシートに座っていた。隣にはご婦人。
降りていく人と入れ替わりに男の子が二人向かいのシートに掛けた。
隣りのご婦人はよく気にかける方らしく、大きいほうの男の子が鞄を引きずってきたのを、手を添えて鞄が擦れているよと声をかけた。
男の子は何となく知らんふりを決め込んでいるふうだったが、ご婦人はなおも注意をしてやった。
男の子はやっと うん と返事を返した。
どうやら、知らずに地面を引きずっていたのでなく、引きずってきたらしい。
その荷物は結構重く鞄の持ち手はただの紐だった。
どこから来たのか。どこへ行くのか。
男のこの方から問いかけを初め、ご婦人は答えを返し問い返した。
話をし、観察するうちに、気になりだした。
やり取りをはじめるとすぐに甘えたように靴を脱いだ裸足の足を擦り付けて、やめなさいとかああ汚いとか言わせている小さいほうの男の子は小学一年生、ぶっきらぼうなタメ口で話し始めた大きいほうの男の子は4年生。二人は兄弟と言う事だ。
弟は、面白そうにジャージの下にはパンツを掃いていないことをしゃべったり、お兄ちゃんのジャージのジッパーを引き下ろして中になんにも着ていないことを見せたりしている。
弟は昨日は外で寝たと話し、兄はうちで寝たという。
弟は外で鍋を使ってラーメンを食べたといい、兄は電車で旅行だという。
兄は家はどこそこで乗り換えて行くといい、弟はまだこれから外で暮らすという。
一昨日は夜9時に家で眠り、夜中の1時に出てきた。昨日は2つ県を跨いで野宿をした。そのために米も鍋も鞄に入れてきており、小さな毛布も荷物にはある。
そんなところだ。
学校は休みなの?ときくと、兄のほうが今日と明日は音楽会で休みで明後日からは冬休みだと話した。
小学校の音楽会で休みとは思えないし、第一まだ冬休みには早すぎる。
隣りのご婦人は降りる駅に着いて、ちゃんと帰りなさいよ。と声をかけて降りていった。
次の駅で降りる予定だったが気になってちょっと先の駅を答えた。
おしゃべりしたりトランプをしたりしながら乗っていった。一人降りてその後には誰も座らず、広くなった4人掛けでまるで遠足気分だ。
ちょっと大人しくしなさいとか、大きな声は出さないとか言いながらたいした事も聞けないままいったが、名札が見えた。
乗り継ぐつもりの駅もきき、散らかしていたウインナパンの串や袋を一緒に片付けて他の人も座るのだからお行儀よく行きなさいねと別れた。
乗り継ぐつもりだといった駅まではまだ1時間弱かかるはずだ。大急ぎで階段をあがり改札にいる駅員に二人の事を告げた。
ダイヤの乱れに対応して、何人もの駅員が客に対応しており、真っ直ぐ向かう私にもすぐに対応しようと声をかけてくれた。
けれどもその駅員は、ダイヤの乱れと関係のない私の話の「男の子が二人」「どの車両に」だけをメモしただけで、名前も服装も降りるつもりの駅も書き取る様子も無く、名前を復唱し始めたのを、もう結構ですよと遮っておしまいにした。
落し物ではない。場所は移ってしまわないとは限らない。
あの駅員さん若い方だから全部暗記できてしまっていて急いで対応するためにかしら・・・
離れてすぐに不安になった。ダイヤの乱れに対応が忙しいはずだ。あまりにもおざなりな不親切な対応であった。そう思い、目的の駅で降りてから職場に向かう途中近くの警察署に寄った。
警察では、二人の家のあるはずの警察に電話を繋ぎ、直接話すように言われた。
話した後、ふと気になって、心配で届けたのでどうなったか知らせて欲しいと言い、連絡先を告げた。
わかりました。ただご両親から届けがないままだとわからないのでご連絡はいかないが構いませんか。といわれた。
ご心配をいただいたけど真っ直ぐ帰ったら警察ではわからないからね。そんな風にきこえる言い方だった。
それは構いません。
職場に向かううちにやっぱりひっかかってきた。
落し物と同じなのだ。ちゃんと拾って届けなければ、それぞれの仕事の範囲外でどこへ行こうと放っておかれてしまう。
職場につく頃には別れてから40分ほど過ぎてしまっていたけれど、二人が通っている地域の小学校をインターネットで調べて、違っているかもしれないけれど少しでも早く情報が伝わる事を願ってFAXを送った。
今日の夕方までは職場にいますと職場の電話番号、携帯を失っていたので連絡のもらえる甘えられるひとの携帯番号、そして自分の名前を記して送った。
1時間半ほどして知らせが来た。
1時間ほどで保護できたということで、昨日から探していたが、米や鍋や毛布を持って出ていたのでまさかそんな遠方へ行っているとは思いもかけずキャンプしそうな場所や川辺を探して大騒ぎだったそうだ。
FAXで初めて見当違いの捜索を知り、警察に届いている情報を受け取ったという事だった。
あのこたち、昨夜の雨で下着を脱ぐ破目になって寒かった事だろう。まだ何日か旅だと強がりながら、弟を連れて帰れなくなるほど遠くには行けずに家に向かって帰っていったのだろう。
けれど雨にあうこともなく、強気でまたどこか別のところへ乗り換えて向かってしまっていたらどんなに大変だったろう。長引くうちに何があるかも知れない。
JRの対応も警察の対応もあまりにも不親切だと思う。
これまでに口先だけで頼りにならないと思う対応を受けたことがあったと思い至り、やっとたどり着いた連絡方法だった。
子供をもつ人であっても地元を離れた子供を見て、闇雲にでもその地域の学校に連絡をしようと思いつくだろうか。つい警察をたより、つい信頼して届けるのではないだろうか。
情報が届いてさえこうなのだから、まだ無い情報を求めていくしかない時にいったいどれだけの対応をしてもらえるのだろうか。
実は私は、先に降りていったご婦人も駅にはきっと知らせてくださったことだろうと思っている。それでもほったらかしにされているのだと思っているのだ。
子供のことを心配して届ける先は個人から直接学校へしかないようだ。
遅れてやっと出る列車に乗り一駅行ったところで、二人は乗り込んできた。
二人掛けの向かい合わせになったシートに座っていた。隣にはご婦人。
降りていく人と入れ替わりに男の子が二人向かいのシートに掛けた。
隣りのご婦人はよく気にかける方らしく、大きいほうの男の子が鞄を引きずってきたのを、手を添えて鞄が擦れているよと声をかけた。
男の子は何となく知らんふりを決め込んでいるふうだったが、ご婦人はなおも注意をしてやった。
男の子はやっと うん と返事を返した。
どうやら、知らずに地面を引きずっていたのでなく、引きずってきたらしい。
その荷物は結構重く鞄の持ち手はただの紐だった。
どこから来たのか。どこへ行くのか。
男のこの方から問いかけを初め、ご婦人は答えを返し問い返した。
話をし、観察するうちに、気になりだした。
やり取りをはじめるとすぐに甘えたように靴を脱いだ裸足の足を擦り付けて、やめなさいとかああ汚いとか言わせている小さいほうの男の子は小学一年生、ぶっきらぼうなタメ口で話し始めた大きいほうの男の子は4年生。二人は兄弟と言う事だ。
弟は、面白そうにジャージの下にはパンツを掃いていないことをしゃべったり、お兄ちゃんのジャージのジッパーを引き下ろして中になんにも着ていないことを見せたりしている。
弟は昨日は外で寝たと話し、兄はうちで寝たという。
弟は外で鍋を使ってラーメンを食べたといい、兄は電車で旅行だという。
兄は家はどこそこで乗り換えて行くといい、弟はまだこれから外で暮らすという。
一昨日は夜9時に家で眠り、夜中の1時に出てきた。昨日は2つ県を跨いで野宿をした。そのために米も鍋も鞄に入れてきており、小さな毛布も荷物にはある。
そんなところだ。
学校は休みなの?ときくと、兄のほうが今日と明日は音楽会で休みで明後日からは冬休みだと話した。
小学校の音楽会で休みとは思えないし、第一まだ冬休みには早すぎる。
隣りのご婦人は降りる駅に着いて、ちゃんと帰りなさいよ。と声をかけて降りていった。
次の駅で降りる予定だったが気になってちょっと先の駅を答えた。
おしゃべりしたりトランプをしたりしながら乗っていった。一人降りてその後には誰も座らず、広くなった4人掛けでまるで遠足気分だ。
ちょっと大人しくしなさいとか、大きな声は出さないとか言いながらたいした事も聞けないままいったが、名札が見えた。
乗り継ぐつもりの駅もきき、散らかしていたウインナパンの串や袋を一緒に片付けて他の人も座るのだからお行儀よく行きなさいねと別れた。
乗り継ぐつもりだといった駅まではまだ1時間弱かかるはずだ。大急ぎで階段をあがり改札にいる駅員に二人の事を告げた。
ダイヤの乱れに対応して、何人もの駅員が客に対応しており、真っ直ぐ向かう私にもすぐに対応しようと声をかけてくれた。
けれどもその駅員は、ダイヤの乱れと関係のない私の話の「男の子が二人」「どの車両に」だけをメモしただけで、名前も服装も降りるつもりの駅も書き取る様子も無く、名前を復唱し始めたのを、もう結構ですよと遮っておしまいにした。
落し物ではない。場所は移ってしまわないとは限らない。
あの駅員さん若い方だから全部暗記できてしまっていて急いで対応するためにかしら・・・
離れてすぐに不安になった。ダイヤの乱れに対応が忙しいはずだ。あまりにもおざなりな不親切な対応であった。そう思い、目的の駅で降りてから職場に向かう途中近くの警察署に寄った。
警察では、二人の家のあるはずの警察に電話を繋ぎ、直接話すように言われた。
話した後、ふと気になって、心配で届けたのでどうなったか知らせて欲しいと言い、連絡先を告げた。
わかりました。ただご両親から届けがないままだとわからないのでご連絡はいかないが構いませんか。といわれた。
ご心配をいただいたけど真っ直ぐ帰ったら警察ではわからないからね。そんな風にきこえる言い方だった。
それは構いません。
職場に向かううちにやっぱりひっかかってきた。
落し物と同じなのだ。ちゃんと拾って届けなければ、それぞれの仕事の範囲外でどこへ行こうと放っておかれてしまう。
職場につく頃には別れてから40分ほど過ぎてしまっていたけれど、二人が通っている地域の小学校をインターネットで調べて、違っているかもしれないけれど少しでも早く情報が伝わる事を願ってFAXを送った。
今日の夕方までは職場にいますと職場の電話番号、携帯を失っていたので連絡のもらえる甘えられるひとの携帯番号、そして自分の名前を記して送った。
1時間半ほどして知らせが来た。
1時間ほどで保護できたということで、昨日から探していたが、米や鍋や毛布を持って出ていたのでまさかそんな遠方へ行っているとは思いもかけずキャンプしそうな場所や川辺を探して大騒ぎだったそうだ。
FAXで初めて見当違いの捜索を知り、警察に届いている情報を受け取ったという事だった。
あのこたち、昨夜の雨で下着を脱ぐ破目になって寒かった事だろう。まだ何日か旅だと強がりながら、弟を連れて帰れなくなるほど遠くには行けずに家に向かって帰っていったのだろう。
けれど雨にあうこともなく、強気でまたどこか別のところへ乗り換えて向かってしまっていたらどんなに大変だったろう。長引くうちに何があるかも知れない。
JRの対応も警察の対応もあまりにも不親切だと思う。
これまでに口先だけで頼りにならないと思う対応を受けたことがあったと思い至り、やっとたどり着いた連絡方法だった。
子供をもつ人であっても地元を離れた子供を見て、闇雲にでもその地域の学校に連絡をしようと思いつくだろうか。つい警察をたより、つい信頼して届けるのではないだろうか。
情報が届いてさえこうなのだから、まだ無い情報を求めていくしかない時にいったいどれだけの対応をしてもらえるのだろうか。
実は私は、先に降りていったご婦人も駅にはきっと知らせてくださったことだろうと思っている。それでもほったらかしにされているのだと思っているのだ。
子供のことを心配して届ける先は個人から直接学校へしかないようだ。
