ほんの数時間で目が覚めた。
なにやら不穏である。
ひっきりなしに風が鳴っている。
この家のどこが風を裂くのか悲鳴の様に左肩の辺りでひときわ高く鳴り続けている。
ふと右手を見ると、窓がわずかに開いていた。
静かだ。
目に見えぬ何かが覆い被さって窓の隙間を塞いでいる。そんな錯覚にとらわれる。
ただ風向きに因るだけのものにすぎないのだが、そこだけの静けさがむしろ不気味だ。

窓を閉めて蒲団に戻り丸くなっても、もう安らかには眠れない。

屋根に隙間でもあるのだろうか。
一体何が光るのだろう。
屋根の上をちらりちらりと白い物が過ぎる。

こんな嵐の中にあっては、森の梢を屋根として小さなあなぐらを住家にするのと、どれだけの違いも無さそうに思えた。