流行り病にかかったときのこと(その2)
あたしと同居人は苦しい鼻先をくっつけて相談して決めました。
抗生物質が効かなかったのだから、あれはウィルス性の病だろう。
どの猫も助からなかった同じ治療は受けたくない。
痛くて冷たく重い脱水よけはいや。
今からは最期のときまでかたときも離れず一緒に居よう。
あたしの苦しみがちょっとでも和らぐよう、体があたたかくなって下痢がマシになるお薬を考えるから、あたしの体に入れてちょうだい。
あたしが逝くときはきっとあたしを抱いていてちょうだい。
相談したとおりに、何も食べられなくなり透明の何にも固形物のまじらないプルプルしたゼリー状の下痢しか出なくなって、脱水に苦しみ始めていたあたしのために、同居人は1週間休みをとり、4つの生薬を混ぜ合わせた漢方薬を煎じました。
飲み下せないで居るあたしの体に注ぎ込むために、人間用の浣腸容器の中身を出し、漢方薬をつめてお尻から流し込んでくれました。
1回目のお薬を貰って、あたしの下痢は止まりました。
まだ何も食べられなかったから薬と薬の間にはポカリを温めて注ぎ込んでくれました。
そして、一週間の休みが終わるまでにあたしは死なないまでに回復しました。
生気の少ない皮膚から漏れ出る水分にあたしの毛は濡れたように体にまとわりつき、目にも力のないやつれた猫になっていたけれど、ふらふらと出歩きまわれるぐらいになっていました。
ご飯を食べはじめてからは、薄皮がむけるようによくなっていきました。
ウィルス性の病はほんとに怖いから、たいていのうち猫はワクチンを受けてこんな思いはしないのだろうけど。。。
ワクチンを受けないまま病に倒れてしまっても、時にはこんな風に野菜スープのような漢方薬が力を発揮して、自分の力で病と戦うことが出来るみたいです。
これはあたしの、ずっと前の体験です。
2003 11/13 12:22
