花見顛末記 ~ じじ・ばばが、やばすぎる ~

 昨日の夜、実家に帰って、今日、桜を見に行くことにしていた。妹が、朝早く出勤した。父も歯医者に入れ歯を取りに行ったので、父が帰ってきてから、昼の弁当の買い出しに母と私で行くことにしていた。11時になり、父の帰りが遅いので車を見に行くと、車があり、父は車の中で何かを探している。聞くと、健康保険証と診察券を無くしたと言う。財布、カード入れ、ポケット、車のシートの隙間を探したが見つからない。花見用にブルーシートを買いにコメリに行ったので、レジで財布を出す時に、一緒にカードがポケットから出て落ちたかもしれないという。そこで、私がコメリに電話したが、今の所、見当たらないという返事だった。保険証は4日に要るので、父は焦っていた。
 とりあえず、母と買い出しに行き、コメリに探しに行った父に電話したが、無かったというので、家で父と合流した。父と母で、車、財布、カード入れを捜索。そうこうするうちに、妹が帰宅。「もう、役場に行って再発行してもらうしかないんじゃない」と言う。
  私が「おじいちゃん(父)がブルーシート買いに行かんかったらこんな事にならんかったのに!」と言うと、妹が、「そんなこと言ったら、お姉ちゃんが花見に帰って来なかったら良かったのにってなるで。そんでどんどん突き詰めると、生まれてこんかったら良かったになるから(笑)。」私、「えー、そんなとこまで?飛躍しすぎやろ。」とツッコミ。
 花見の後、役場に行くことにして、車二台で花見に出発。ブルーシートを敷いて、巻き寿司、チラシ寿司、焼きサバ寿司、赤飯、柏餅、桜餅を食べ、写真も撮って花見終了。
 妹が最近できたチョコレート工場に行くというので、役場行きのじじばばと別行動に。じじの車がバックしたと思ったら、左の前輪が溝に挟まり動かなくなる。「嘘やろ!溝見えへんかったんか」と思わず叫んでしまった。「保険証なくすわ、車動かんわ、ダブルパンチや。」いつもの自動車屋さんに電話させて、私と妹はチョコレート工場へ。
 実家に帰る段になって、妹が家の鍵をばあちゃん(母)が持ってるかどうか気になりだした。ばあちゃんに預けた後、いつもの隠し場所に置いたか、自分で持ってるかどっちかわからないという。私は3時過ぎには実家を出発したかったので、母が持っているか、実家に鍵があるか母に電話してもらった。母は、「いつもの場所にある」と言う。一抹の不安を抱え、実家に到着。不安は的中し、鍵はいつもの場所になく、厳重に鍵が掛かっている。じじばばが帰ってくるまで、私に荷物が取り出せないと諦めかけていたら、妹がトイレの横の洗面所の小さい窓が開いていのに気づいた。脚立に登って侵入。これで、家に帰れる。ほっとする。
 夕方家に着き、実家に電話すると衝撃の事実が。なんと、父が保険証をもらって帰ってきてすぐ、カード入れを見たら、いつも入れない反対側のしきりに保険証が入っていたそうだ。さらに、父は役場の階段を降りた後、ちょっとした段差に気づかず、前のめりにこけて、腕をすりむいたと言う。「すりむいただけで済んで良かったね」と返したが、じじばばの言葉は信用できないと思った。二人とも記憶があいまいで、思い込みがやばすぎる。
 妹からメールが来て、これからは、じじばばの言うことに騙されず、きっちり調べさせてもらうと言っていた。老いるということはこういうことなんだ。93才と91才、畑仕事もして元気そうだが、着実に出来ることがどんどん、減っていく。これは私の未来の姿でもある。これから厳しい老後が待っている。