玄米菜食   -悪性貧血の落とし穴-

 友達のAさんは、5年前に3カ所圧迫骨折をしてから、ずっと不調が続いている。右脇腹と背中の痛み、息苦しさ、足裏のしびれと、小石を踏んでる感触に悩まされている。つい最近、黄色靱帯骨化症という難病の疑いと言われ、落ち込んでいた。
 一度血液検査の結果を見てほしいと言う。基準値を超えていたり、少なかったりするものがあったので、「医者になにか言われたの?」と聞くと、「何も言われなかった。」と言う。分子栄養学では、基準値内でも、病気と判定されることが多いのに、HやLがついていたら、アウトでしょうと、何も言わない医者にあきれてしまった。
 

  まず、目についたのは、アルブミン値4.1で、タンパク質不足が疑われる。総コレステロールが174、これもタンパク質不足、カロリー不足の疑い。赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、3つとも低い。鉄欠乏。MCV(赤血球の大きさ)98.9、ビタミンB12不足、葉酸不足。
  Aさんに食事内容を聞くと、玄米菜食で、魚はほとんど食べない。リュウマチの痛みがなくなるので、20年前から続けているという。ビタミンB12は、魚や貝に多く含まれており、野菜にはほとんど含まれていない。肝臓に3~5年分くらいは蓄えられているが、それも使い果たしたようだ。足裏がしびれるというので、医者から、メコバラミンを処方されていたが、Aさんが、「あまり効いてない」というと、「ほな、止めるで」ということで、薬を出さなくなったそうだ。
 赤血球が大きくなると、毛細血管を通ることが出来なくなり、しびれや、チクチクとした痛み、筋力の低下などが起こる。Aさんの症状とぴったり合致している。タンパク質、鉄、ビタミンB12が不足しているようだと、Aさんに伝え、魚を食べることと、海藻や、鉄鍋、鉄の玉を使った料理をするように、アドバイスした。
 6月の血液検査に向けて、頑張ると言ってくれて、嬉しかった。