猫しっぽ猫からだ猫あたま

 

一人暮らしの近所のおじいさんが入院中、

母と私は、

おじいさんの飼い猫の世話をした。

 

おじいさんは、いったんは退院したものの、

結果的に亡くなってしまい、

 

遺されたおじいさんの飼い猫を、

母が、引き取ることになった。

 

亡くなる前、

おじいさんから、

 

「その猫は、飼い主にもなつかず、

いつも、押し入れの狭いすき間に

入り込んでいる」

 

と聞かされてた。

 

猫しっぽ猫からだ猫あたま

 

2024年12月6日

 

引き取ったその猫を、

わが家の物置部屋に放つと、

猫は、

すきまというすきまに入り込んで、

かくれた。

 

 

探すのが大変なため、

入りそうな場所を、全部ふさいだ。

 

 

そして、

猫は、私たちが用意した箱の中に入り、

一日中、ずっと動かなかった。

 

からだが、壁に触れてるのが

その猫は、安心できるらしかった。

 

 

この猫がいる、

北にある物置部屋は、外のように寒く、

電気ストーブをつけてあげても、

部屋全体は、あたたまらない。

 

 

出入口は閉められ、

人気のないところに、

猫はずっと、ひとり・・・。

 

 

これじゃ、いつまでたっても、

私たちになつかないだろう。

 

 

日中は、

母は、猫をひなたの部屋に移動させたが、

オリから出さなかった。

 

 

 

 

母は、

「この猫は汚らしいから」

と。

 

母の家は、

掃除を怠けて、

ちりだらけで、汚らしいというのに。

 

「一生、このままで飼う」

と言い張る、母。

 

私は、猫が、「監禁状態」で不憫でならなかった。

 

 

母は、猫に、

「ミイ」

という名前を付けた。

 

ミイは、たしかに、ずっと家の中で飼われてたものの、

汚らしかった。

 

ブラッシングされてないため、

抜け毛が、

掃除しても、毎日、部屋全体に散らばていたし、

 

 

ウンチと思われるものが、

毛にからまって、ぶらさがってたりもしてた。

 

 

猫しっぽ猫からだ猫あたま

 

2024年12月13日

 

「きれいになれば、

飼い猫として、家の中を自由に

放してもらえる」と思って、

 

ブラッシングやお尻周りの毛を

カットしようとしたら、

 

思い切りかまれ、

出血してしまった。

 

瞬間に指先までしびれがきて、

『ねこにかまれて死んだ人の事例』

が頭をよぎり、怖くなった。

 

必死で、毒抜きをして、

大事にはいたらなかった。

 

というわけで、

ミイをきれいにすることはできなかった。

 

 

猫しっぽ猫からだ猫あたま

 

おじいさんの家では、

大食漢だったミイは、

わが家に来てからというもの、

ほとんどエサを食べなくなった。

 

4日くらいすれば、

食べだすとか

そんな情報もあり、

もう少しの辛抱だと思った。

 

 

猫しっぽ猫からだ猫あたま

 

 

ミイは、ふだんは、オリの中の

箱の上に出てて、

 

 

 

私が来ると、箱の中に隠れるのだった。

 

ブラッシングが、よほど、嫌だったらしい。

 

 

猫しっぽ猫からだ猫あたま

 

2024年12月16日

 

ミイには、おじいさんの家にいたときから、

右手に、

何かがついてた。

 

 

 

気になって、気になってしかたなかったので、

確認することにした。

 

 

 

右手。

 

どこに、肉球があるかさえわからない。

 

 

何かついてる。

 

 

アンモナイト化した、親指の爪だった。

 

猫の爪は、脱皮型なのに

こんなことになるのか?

 

 

おじいさんの家には、

ちゃんとつめとぎが置かれてたが、

使われた形跡がなく

ほこりをかぶっていた。

 

 

私は、自宅から、

ニッパー爪切りを持参してきてた。

 

私は、2年前から

急に、足の指全部が

巻き爪になってしまい、

先月、

ニッパー爪切りの存在を知り、

買ったばかりだった。

 

まさか、

猫のために活用する日が来るとは!

 

 

ミイの左手の、巻き爪は、ひどく、

肉球に刺さっていた。

 

バビルサイノシシの牙じゃあるまし。

 

 

爪を切ったら、

肉球はひどい状態だった。

 

 

切り取った爪の一部。

 

 

後ろ足は、

爪は正常だけど、

毛が伸びてて肉球が隠れ、

紙トイレくずも貼りついてしまってた。

 

 

毛をカットして、

オリに戻した。

 

 

ミイは、さぞかし、

痛みから解放され

感謝してることだろう、と思った。

 

 

それにしても、

ミイが来てから、

飼い猫マリアが不機嫌だ。

 

 

 

いままで、

野良猫の看病で室内に入れたことは多々あるが、、

ミイのことは、気にいらないようだった。

 

 

マリアまで、食が半減してしまい、

困った事態に。

 

どうしたらいいんだろう?

 

 

猫しっぽ猫からだ猫あたま

 

ある日、

野良猫たろうが仮眠をしに

物置部屋にやって来た。

 

室内に、入れたのは、当然、私だ。

 

 

敷き詰められた布に、

たろうは驚いてた。

 

布は、「ミイが汚い」と言って

母が敷いたものだ。

 

 

 

いつもと違う様子に驚く たろう。

 

 

 

ミイを発見。

 

 

めずらしく、たろうから、鼻ツンしてた。

 

私の認識からすると、

鼻ツンは、下のものから

上のものへする行為に思える。

 

ミイは強いのか?

メスだけど。

 

 

たろうは、

「ヴ~ッ」と文句言いながら

仮眠もせず、

すぐに家から出て行ってしまった。

 

 

たろうも、

ミイが気に入らないらしい。

 

 

たろう 「ボクのほうが、長い付き合いなのに、

なぜ、あんなやつが家の中で飼われるんだ」

 

 

「けど、なんか、居心地悪そうだったな・・・」

 

そんな表情。

 

 

(つづく)

 

次回、ミイ、命の危機