新宿二丁目


もう28年も前になるだろう


新宿二丁目のゴールデン街の外れに「とも」と言う店があった。ママの名前からとったものだ


私はその隣に隣接する2階にあったスナックに用事があって年中出向いていた


夜な夜な外に顔を真白に塗りたくった女がカツラをかぶって客待ちをしていた

暗い夜道に立っているのを何度も目にしていたが気になっていたのでスナックに呼び話を聞くと客がつかないと言うことだ


無理も無いだろう、若くないのだが、中にはそれでもいいという男もいる


縄張りがあって店の幅からここからここという具合に見えない線で仕切られていた


ともチャンは年の頃なら60は越してるだろう。


美人ではないが綺麗でもない。微妙だ。


私はスナックで話を聞いて「とも」ちゃんの助けをするからと約束をした。

一体何の約束か・・・客引きだ


それも相手が男だ。その近辺を通る男はみんなゲイやホモを相手にしたいが為にさまよっている


ともちゃんは少し年をとりすぎていて客も中々寄り付かなかった


「友」と言う店が二丁目の端にある。その前には小さな公園だ

その公園の前には男専用のホテルがあった


私はその公園で客の終わるのをブランコに乗って待っていた


客引きを言ったからにはやるしかない


そこら辺でうろついているそれらしい男に私は声をかけた


勿論私はオカマが女装してると思われていなければならない

若いオカマの出来上がりだ、派手な化粧をされた


「ねえ~お兄さん~私と遊んでいかない?」


と色目を使ってすばやく腕を組む


落ちた・・・簡単なものだった


店の中には60のともちゃんが待機している3畳くらいの店だった。当時はそんな小さな店が多かったのだ


ソファーベットにテーブル、そんなものしかない


笑ってしまうのは電話があるのだがコードが延びてるだけでニセモノだった。役にも何にもたたない


私は引っ掛けた男を店のドアを開いて中に放り込んだ


その瞬間出られないように外から鍵を閉めるのも私の役目になったのだ


中で男のうめき声が聞こえる。私はドアの前に背も垂れて早く終わるのを待っていた


中は静かになる、さすが年季の入ったともちゃんだ


ともちゃんは「素また専門」だった。


所要時間15分。料金5000円。安いものだ


中には「出してくれ~~!!」と叫ぶ男もいたがそんなのは聞いて聞こえないふりをしてる


ある日、昼間にともちゃんと歌舞伎町でお茶を飲んだ


素ッピンだが綺麗な肌だったのを覚えている


好奇心が強い私はゲイとホモの違いを聞いたのだ


即答で返ってくる


男の心のままで男を愛す。女の気持ちになって男を愛す。

どれがどっちだか忘れたが、そうらしい。難しいな・・・


二丁目も区画整理があり「友」が引っかかってしまった

やむなく店を閉める事になる


今生きていれば85歳位だろう。85歳の素またはどうかと思うが、死んでも辞めないといっていたのが思い出される


元気で素またの婆さんで長生きをして欲しいものだ


しかし二丁目と言うところはなまじ入るとハマってしまうよ


しかし中に入り込めば皆いい人間だ。


懐かしい。今度行ってみようかな


でも、かたせ梨乃みたいに暴れて帰ってこないので安心してください


もし良かったら案内しますよ


素またかモロアナルのどちらかで・・・・・