ポン中は何を考えるか分からない。


私のことだ。


検問で3人の警察官が近づいてきたときに私は車の中で作った、作り置きのシャブを、分からないように太ももに打った。


場所などどこでも良かったのだ。


パクられたら打てない!

それだけの心理だ。

まさしく病理集団の構造に違いない。


ドアに顔を半分突っ込んだ警官がいた


「はーい!停めて!免許証」


何ともそっけない・・・・


ほかの2名は私たちを見ている。


内心どうしようか・・・などと考えたがなるようにしかならないだろう。


男が言った

「何かあったんですか?」

(余計な事は聞くな!そう思っていた)


ポン中はよく喋る人間と、そうでない人間の差が大きい。


この男はどうやらペラペラと喋るようだ。

今まで気にも留めなかった。

周りにマトモなのがいなかった性かも知れない。


警官の1人が私に

「シートベルトして!」


「私、妊娠してるんです。できません!」


そんな会話をした。妊婦はいいのだ。

腹も出てないのに妊婦はないが咄嗟に出た言葉だ。


これから産婦人科に向かう途中だと言う。


私は流産しかかっている妊婦になってしまった。


話がややこしくなって、病院まで間に合うか、追走しようか・・・


あ~厄介だ!


病院までこられても困る。


私の顔色がだんだん青くなり変な汗が出てきた。

シャブの効きすぎだ・・・・

血管には入れなかったが、だんだんとジワジワ効いてくるのが体で分かる。


困った。


少し量が多かったのかもしれない。

妙な効き方だ。

体中の穴と言う穴から何かが出てきそうな、そんな感じで座っていた。

体は浮遊状態だ。


そして放心状態・・・・


「大丈夫か・・・・」

小さな声で男が言った。


「・・・・マズイね」

それしか言葉にならない。


免許証の確認をしていた。


検問は轢き逃げだったのだ。


しかし警察と言うところは、それにかこつけて余計なものをパクりたい。


私たちは格好の餌食だ。


効き目がどんどん広がっていく。

やはり多かったのだ。

これが混ぜ物でなかったことに感謝した。


警官がそんな私を見て

「どうしたの?大丈夫!」


「駄目です、早く病院に行かせてください」

懇願した。


「誘導しようか」


「大丈夫です」


「でも凄い汗だね」


「お腹が痛いんです!かかりつけの医者が近いから行かせてください」


もう一人の警察官が顔を車の中に入れてきた


「お前ら、シャブやってんだろ!」


「・・・・・・・・・・・」


「そんな芝居には騙されないぞ!」


「そーかよ!どこでも調べろよ!」

男は興奮していた。


バレていたのだ。


日本の警察は甘くはない・・・


警官が車に乗り込み、偽装妊婦の私と男は外に出された。


車内を隈なく探している。


私と男は目を合わせてニヤリとした。


車の偽装だ。

とんでもないところにネタを隠していた。

私達でさえ取り出すのが大変だ。


しかし注射器数本と空のパケが押収された。


結局、所持がなくて使用だけだ。


私達にしたら軽くて済んだ・・・・


そのままO署まで連行。


あとはお決まりのコースだ。


妊婦だと言ったのを刑事は侮辱罪だと言う。


私は本当にそう思ったから言ったまでだと言い返す。


たまたま生理だったのだ。


ポン中とは怖いものだ。

男の刑事の前で下着を脱いだのだ。


ナプキンまで見せた。


これは拘留されれば同じ事をされるのでいいか・・・と思ってストリップをしてあげた。


同じ事をされるついでに、あそこまで指を入れる婦警は一体どんなことを考えているのだ。


「分かった、分かったから」と、そばにいた女の警官が制止した。

「私はこの血を生理とは思わなかった。流産に違いないと思ったのよ」

白々しいことを言っている。


「知らないって怖いわね」と言った。


すぐに尿検査のコップを渡され、トイレのドアを開けたままオシッコをする。


(ネタくさい!参ったな~。臭い飯か・・・・)

そんなことを考えながら、一緒にいた男も気になった。


言ってることが合わないと、いつまでも拘置期限が延びてしまいそうだ。


あの男のことだから、効き目でパクられていたら何を喋るか分かったもんじゃない。


車の中に純度のいいネタが入っている。

どこに駐車しているのかも気になった。


いない間に中を改造して壊しているんじゃないかと言う妄想までしてきた。


ヤバイ!

妄想の世界に入ってしまう。


百戦錬磨の刑事にはそんなことは百も承知だ。


効き目の時が一番落ちやすい・・・・



4日過ぎぐらいに私に覚せい剤使用の反応が出た。

すでにキレメだ。どうにでもしてくれと寝ていた。


一貫の終わりだ。


開き直りもできない。


「偽妊婦!出たな!」

刑事のこの一言で奈落の底に落ちた。


実刑2年4ヶ月ただし執行猶予3年。


助かった・・・・・(笑)


車に隠してあったモノはそのまま残っていた


私はニヤリとしながら、体に入れた。


男は2年6ヶ月実刑だ。


このネタは私のモノになってしまった。

暫くは不自由しない・・・・