夫は朝からソワソワして、落ち着かないヤローだ。(心の中でつぶいている私がいた)
頭に来るのだ!!
私には分かるんだよ!!早く私の目を気にしないでシャブを体に入れたいんだろう
金が持つか、シャブが持つか、体が持つか。。。それらの一つでも無くなったら、亭主は発狂するに違いない。
今でも時たま妙なことを言い出す。
1キロ離れたノミの心臓の音まで聞こえるそうだ。
隣の部屋の会話は聞こえないのに。
換気扇の音を、誰かがその中に入ってると言う。
またいつもの事だ。
ポン中歴の長い私からしたら、まだ可愛い方だ。
わたしなりに、夫の様子は見ているが、いつテンパルか分からない。
たまに思う。。。いっそ、大量に打って心臓発作でもおこして、サヨナラとなってくれないものかと。
今の夫を見ていると廃人になりかけている。
幻聴や幻覚を言い出したら、台所からフライパンを持ってきて、それを木で叩くと寺の鐘みたいな音がする。
その音を聞かせると、一瞬、正気に戻るのだ。
これはショック療法としても知られている。
私もシャブでは10年選手だ。
血液型は0型。ポン中には意外に0型が多かった。
ポンプも洗わないで、使いまわしだ。
これでは、どんな病気に感染しても文句は言えないだろう。
女がポン中になると、これも最悪だ。
違う意味で最悪だ。
男の体を求めてネタを打ちながら延々とセックスに快楽を求める。
その為には、何でもするようになるのだ。
私は売人として、そんな女を沢山見てきた。
顔は段々と老婆のようになって行き、体はシワシワだ。
骨と皮だけの姿になっても、まだシャブをくれと言う。
手足は細く、股の付け根に打っていた。
哀れみを感じるが、私もそれが商売だ。
たとえ、買い手がロクっても関係無い。
非情な女だった。
売人として、ミイラ取りがミイラになって行くケースはかなりのパーセンテージだ。
例外に漏れずに私もミイラになって行く。
白い粉を手にした時に、心拍数が早くなり、口が渇き、落ち付かない自分がいる。
パケを切り、粉を舐めた。
苦いなんてモノではない。飲んだら胃に穴が開くとも言われている。
実際にショートホープの煙草のケースを押して、そこで濃い目のシャブを水で溶いた。
セロハンから箱の紙までが茶色く変色して溶けていた。
そのぐらい強いものを飲んではいけない。
人間を辞めなくてはならないだろう。
私は自分の腕の静脈を見ていた。
近くにあるヒモも捜していた。
これが死へのカウントダウンになろうとは。