不思議な経験を何度か、している。
そのうちの一つは1997年。名古屋で起きた。
当時私はTHE YELLOW MONKEYのファンで、よくコンサートに出かけていた。
とはいえ、地元、武道館、大阪城ホール、大阪のホール止まり。
それ以外の地方には遠征したことがない。
唯一、前述の名古屋はチケットと休暇も取れ、
予算も確保できたので、野外コンサートに参戦と相成った。
前夜、私は少し不思議な夢を見ていた。
どう考えても自宅近くの下水処理場によく似たシチュエーションの場所に、
人、人、人がぎっしりと並び、少し離れた場所にバス停のようなものが立っている。
それが、下水処理場とは違う部分だ。
その人たちは静かに、じっと来るべきバスのようなものを待っている。
ああ、コンサート会場から、最寄り駅までバス移動があるらしいから。
多分その夢を見ている。
うっすらとそう思った。
当日、同じ現地にいるものの、ブロックや移動、食事などを
一切合流しないはずの友人2人が、一緒にバスに乗っていた。
だから、ああ、これは夢なんだ、と。
ただ、それだけのはずだった。
若干のにわか雨などがありつつ、コンサートは大盛り上がり。
知ってはいたが余り最近演奏されていなかったらしい楽曲も聴け、
単独行ながらも、私は大満足だった。
終了後、移動の案内に沿って、近隣駅へのバス移動を待つ列に並ぶ。
周りは友人知人と来ているらしく、大声ではないながらも、静かな満足感と
疲労感に満ちたファンのざわめきで、埋め尽くされていた。
当時はまだ携帯も持っておらず、立ったまま読書をするのもおかしな話で。
することもなく、ぼんやりと移動をただ待っていたその目の前に。
直径7cmぐらいの白熱球のような薄いオレンジの半透明の物体が、ふわっと浮かんだ。
なんだろう?
私のやや右斜めおおよそ1m前後の人の頭の上から
つ、つ、つと、ゆっくりとした速度でその白熱球は浮かび上がっていく。
え?
なに?
人魂?
怖さは、なかった。
鳥肌は少し立ったが、余り嫌な感じはしない。
周りにはみっちりと、数千人近い人が満ちているのに、誰も気づかない。
私一人が、バスのやってくるであろう左方向とは違う、
右斜め上空をじっと見ている。
きょろきょろと頭を巡らして、ふと気が付いた。
ああ、昨夜、夢でみた、地元の下水処理場とよく似ている。
じゃあ、あれって、私?
いや、でも……もうちょっと高度が高かった気がする。
妙なことを考える間に、オレンジの白熱球は
変わらぬゆっくりとした速度で、上昇を続けている。
そしてずっと、誰も、気が付かない。
1人ぐらい気付いて、あれ、何? って言いそうなものなのに。
左右や前後の人たちの視線を追ってみても、だれも。
だれ一人も、視線どころか、声を上げない。
指も指さない。
私だけ、その薄淡いオレンジの白熱球に夢中。
改めて隣を見てみると背の高い男性だった。
口を開いて、彼に、あの、と、話しかけようとしたら、
彼は相方と話を始める。
自分の目の前は女性だけど、彼女も友人と楽しそうに話している。
左も同様。
後方は延々カップルでいちゃついている。
あれ、なんでしょうねって。
誰かに言えたらなあ。
だけど、話せる隙がない。
つ、つ、つ、の白熱球はゆっくり、だけど確実に高度を上げていく。
見える大きさは、変わらない。
そうそう、高度的にはあの角度だった。
なら、やっぱり私の人魂?
なら、言っても仕方ないのかなあ。
妙な思い込みで、口が閉じてしまい、
ただただその白熱球の動きだけを、じっと見つめていた。
時間にしてゆうに20分近くの体感。
ずっと、その白熱球は宙にいた。
誰にも気づかれず。
移動のバスの順番がきて、乗り込み、会場を後にする。
話題を同じ現地にいるはずの友人2人に共有しようにも、手段がない。
見ず知らずの人に話す、度胸もない。
だって、内容も内容で。
バスの中は混んでいて、立っているだけが精いっぱい。
外の風景すら見られない。
この白熱球話を、友人にしたのかどうか、覚えてはいない。
ただ、なんだったんだろう。
やっぱり、私の人魂的なものだったのかな?
漫然とそう思い続けていた。
先日、瀬知洋司さんの「となりの小さいおじさん」2冊を読んだ。
Youtubeで配信される、瀬知さんの動画も楽しみにしている。
おじさん、見たいけど、私にはそんな高エネルギー体は見えないよねぇ。
ずっとそう思っていた。
……変なものをみたことは、あったけど。
そして思い出すのは、名古屋のこの事件。
ここが、まさか、あの白熱球が隣のおじさんと
類似なのでは、という発想には、つながらなかった。
この「鈍さ」私にはよくあることだ。
そして、ふと、つい数日前。
あれって……あの白熱球って。
ひょっとして。
そう思ったのだ。
まさか。
おじさんが見たい余りのこじつけ?
でも、人が沢山いるところに、よく現れるって瀬知さんは説明されている。
色味もよく似てる。
瀬知さんが見ているような、プリケツの人肌色の人体型ではなかった。
ただ、大きさは……そう、おじさんとよく似ていて、8センチに近い。
時折オーブとして動画がupされているものほど、早い動きもしなかった。
私が見たのは、のんびりとした動きの小型の白熱球、人肌色で大きさも類似。
共通項は、それだけだ。
だが、あの場のみんなの雰囲気は、コンサート余韻で満足や興奮や
そういったエネルギーが多くなかっただろうか。
なかなか聴けなかった楽曲を演ってくれた喜びもあったと思う。
高エネルギーだったんじゃないかな?
コンサートのツアー名は紫の炎。
……見えたのは、白熱球、オレンジだったけど、ひょっとしたら……。
……あなたも、まさか。
あれが高次元エネルギーだなんて、そんな。
そう、思ってませんか?
私も0.01信9.99疑ぐらいだが。
……あれが、おじさんのお仲間だったのなら。
嬉しいんだけどなあ。
そういえば、共通項はもう一つ。
瀬知さんがおじさんに初めて会ったのは駐車場だったよね。
……コンサート会場も駐車場、いや、こじつけすぎか。
私の生霊ってこたあ、ない、と願いたい。
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