はぁ、はぁ…。




ここは一体どこなんだ!?




俺はついさっきまで
森で調べ物をしていたはずなのに。




そして見つけた古井戸を調べようとしたら、
穴の中に急に旅の扉が現れて…




そして…




吸い込まれた?




そうか。




俺は旅の扉に吸い込まれたんだな。





どうりで見たことがない場所なわけだ。





だが場所のことはともかく。





ここはヤバい世界かもしれない。





なんせ…





いきなりあんなヤベェ奴に
会っちまったんだから…。















すれ違いざまにブツブツと何かを
呟いたかと思うと、
奴は急に襲い掛かってきやがった!




両肩に付けた盾でいきなり
突撃してきたんだぜ!?




すんでのところでかわして
難を逃れた自分を褒めたい。





しかし…






問題はその次に出会った奴なんだ。






そいつは変な白い服を着て、
変な赤い布を頭に巻いていた。






そいつも何かを呟いていた。





確か…












……











やっべぇ奴だった。





いきなりどこかから
「Fight!」
って声が聞こえてきたかと思うと、





しゃがみ弱PP中Kとか(なんだソレ?)、
拳の形をした変な青い炎?とか
ショー?リュー?ケーン?だかなんだか、
いきなりそれを連続で喰らった
俺の頭の上には、
黄色のかわいい鳥が
何匹もピヨピヨ飛んでたんだぜ!?





何が起きてんだコレは!!??
夢なのか?
だが痛い!!!!




流石の俺も
一瞬死ぬかもって思ったさ。





でも、こんなところで俺は死ねない。
愛する妻を一人残して
死ぬわけにはいかない。




命からがらそいつから逃げ出した俺は、
町を見つけてここに逃げ込んだわけだ。








さて、この町で何か帰る手がかりでも
見つけられればいいが…。















【マスコット シャドウパンサー】
ガウガウ。
ガウガウガウガウ。
(いらっしゃい。
 ゆっくりしていってね。)










なんだこの凶悪な色の犬は。
完全に襲ってくる系じゃねぇか。
しかもずっと
ガウガウ言ってるし。






ここも…やっべぇところなのか?







うん。





きっとやっべぇ。
俺の本能が告げている。
逃げろ、と。




とにかくあの建物の中に隠れよう!!!








【シスター ライノソルジャー】
おお、神よ。
私は貴方の教えに背きました。
そして、恐ろしい技を身につけました。
敵の素早さを下げ、
じっくりと痛めつけてからなぶり殺す技を。
おや。
丁度良い獲物がやってきましたね。
ふふふ…。













やややややや、やっべぇっ!!!!
ななな、何言ってんのアイツ!???
どどどどど、どうすれば???!!!??





何か身を守るものを!!!





そうだ!




さっき防具屋があったはずだ!!







【防具屋 トドマン】
いらっしゃい。
何かお探しで?


防具屋に来たから
防具に決まってるだろって?

ノンノン。

お客様。
防具というのは、しょせんは物です。
自分の命が真に危ない時に、
物なんぞに身を委ねられますか?

1番頼れるのは、
鍛え抜いた己れの肉体ですよ。

うちで扱ってるのは

[鋼のよろいのような鋼の肉体]

この一品だけです。
いいでしょう?

ほぅ。

お客さんもなかなか良い鋼をお持ちだ。

どれどれ、
強度を試してみましょう。

そこでじっとしてください。
いきますよ。

せーのっ…

魔神斬り!!!!!














……スカッ。







おいぃぃぃぃぃぃーーーーっっっ!!!
魔神斬りて、
守備力無視の技じゃねえか!!!
防具関係ねぇっっっ!!!
てかいきなりかよっ!!!
逃げねばっ!!












はぁ、はぁ、はぁ…。




もうどこに行けばいいか分かんねぇ…。




こうなったらもう、
あそこにある占いの館にでも行ってみるか?
もしかしたら旅の扉とか
出してくれるかもしれないし…。







【占い師 オークキング】
はぁ。

なんでアタシの占い、あたんないんだろ?
こんなに頑張ってるのに。

ダークスラスト占い。

相手がドルマ弱点なら大ダメージ。

2マス先まで届いちゃうんだから!

ドルマ激減の人なんて、
この世からいなくなってしまえ!


もー。
占いなんて売らないし。
占い師なんて知らないし。






……だれ?



アタシのボヤキを聞いてるのは…


誰?


フール!!!!!


今聞いたことをすべて忘れてしまえ!!!



(魔力が暴走した!)






あらやだ。

フールが暴走しちゃって、
記憶とか理性とか
色々なくしちゃってるみたい。
どうしましょ。








【決戦 魔戦士ヴェーラ】
どうした、オークキング。
おや?
其方が連れているのは人間か?

…なに?

記憶を失っているだと。

仕方あるまい。

ここは魔獣の国、
よっぽどこわいおもいをしたのだろう。

先ほど旅の扉の気配を感じたのは
この者のせいかもしれぬ。

せめてもの情けで
元の世界に返してやろう。

なに?

いつもより優しいだと?

ふふふ。

実はそんな男など、
正直どうでも良いのだ。

それよりも、
さっきから強い気配を感じていてな。

何やら強い奴と戦いたがっている
奴らがやってきそうなのだ。

1人?2人?

ふはは、楽しみだ…。











……






ここはとある田舎の村。
記憶を失って倒れていた男が
牢屋に入っています。
どうやらお腹が減って、
食べ物を盗んで捕まったようです。


とてもこわいおもいでもしたのでしょうか。
ひどく怯えています。


しかし安心してください。


もうすぐ、戦士がやってきます。


ピンク色の鎧を着た、
立派なヒゲの戦士です。


そして戦士は、記憶を失った男の
妻を連れてくるでしょう。


そして妻は男にぱふぱふを施し、
きっと全ては上手くいきます。








このお話は、
とある田舎の村で起きた事件の序章。


しかしこのお話は、
もしかしたら世界を破滅から救うような
お話の序章の序章…なのかもしれません。






おしまい。