じこ報告書 -46ページ目

旅先にて

このドアに巡り逢い、実際に体験出来たことは実に貴重なものであった。



大阪、岸和田。
関東で育つオレでも、その地名は分かる。
印象は熱いまち。熱い心を持つ人々が暮らすまち。

その中に佇む1件のコンビニ。
そこでオレは、素敵な体験を済ませる。



深夜、寒い体を震わせながら店内へ。
申し訳ないと思いつつも、レジの対角線に聳える白いドアに狙いを絞る。

そして数秒後、オレは感動の渦に巻き込まれるのだった。



そこにあったもの。
外側から押しても内側から押しても、真ん中で折れて横に開いていくドア。

つまり、中折れ式。

ここ数年、新しい医療施設では、このドアの設置が増えているらしい。
車椅子利用者にとって、随分と使い勝手がいいという話を耳にした。

確かにこれは便利かもしれない。
オレは一人納得を重ねながら、何度も開閉を繰り返す。
怪しい男が一人。

しかし、介護職に就いておよそ5年。
普段、病院などに足を運ばない自分には、実際に出会えたことがかなり刺激的であった。
本当に嬉しい。

しかも、体験したのが一コンビニのトイレである。
こういった配慮の出来た建物の増加に、二重の喜びを感じる。

感謝を告げ、
とにもかくにも感謝を告げ、
オレたちは岸和田を後にする。
とてもいい年末を迎えられた。