尾行
つけられている。
オレが気付くのは、決まって家に着いてからだった。
駐車場から草むらを抜け、自宅のドアを開ける。
明かりをつけると部屋着に着替え一息つく。
今日も一日疲れたなどと、他愛もない愚痴を零したりする。
ふと、何かの気配を感じ振り返った。
オレ以外誰もいないはずの部屋。
しかし…彼はそこにいるのだった。
細い体。
黒い肌。
目立たない存在が幸いしているのだろうか、いつの間にか部屋の中へ侵入している。
今までも彼は、そうやって己の仕事を片付けてきたのだろう。
オレは手を差し出す。
そして、ゆっくりと彼をつまみ上げる。
窓を大きく開けると、冬の冷たい空気が暖を求めるかのように部屋へと入り込む。
オレは祈りを込めながら、彼を空へと放り投げた。
綺麗な花が咲きますように。
未来が詰まった小さな種は、新たな場所へと旅だっていった。
オレが気付くのは、決まって家に着いてからだった。
駐車場から草むらを抜け、自宅のドアを開ける。
明かりをつけると部屋着に着替え一息つく。
今日も一日疲れたなどと、他愛もない愚痴を零したりする。
ふと、何かの気配を感じ振り返った。
オレ以外誰もいないはずの部屋。
しかし…彼はそこにいるのだった。
細い体。
黒い肌。
目立たない存在が幸いしているのだろうか、いつの間にか部屋の中へ侵入している。
今までも彼は、そうやって己の仕事を片付けてきたのだろう。
オレは手を差し出す。
そして、ゆっくりと彼をつまみ上げる。
窓を大きく開けると、冬の冷たい空気が暖を求めるかのように部屋へと入り込む。
オレは祈りを込めながら、彼を空へと放り投げた。
綺麗な花が咲きますように。
未来が詰まった小さな種は、新たな場所へと旅だっていった。