『のぼうの城』から六年。四年間をこの一作だけに注ぎ込んだ、ケタ違いの著者最高傑作!
和睦が崩れ、信長に攻められる大坂本願寺。毛利は海路からの支援を乞われるが、成否は「海賊王」と呼ばれた村上武吉の帰趨にかかっていた。
折しも、娘の景は上乗りで難波へむかう。家の存続を占って寝返りも辞さない緊張の続くなか、度肝を抜く戦いの幕が切って落とされる!
第一次木津川合戦の史実に基づく一大巨篇。
(Amazonによる紹介)
第35回吉川英治文学新人賞受賞作。本屋大賞ノミネート作品。
とにかく絶賛されております。
『村上海賊の娘』というタイトルですから、女海賊の景が主人公ではありますが、
(作品中では当時の基準で醜女醜女と書かれていますが、現代なら八頭身美人な設定なのは間違いない)
私は彼女より、彼女の気の弱い弟や、「阿呆」が最上の誉め言葉である、泉州の海賊や侍の面々の方が魅力的に描かれていると思います。
彼女はちょっとエキセントリックな感じで人間離れしていて、
(彼女だけ作者の空想の産物だから仕方ないのですが)
私には少々感情移入が難しい。
そして上巻は下巻の木津川合戦に向けての長ぁぁーい前ふりで、
久しぶりに綾辻さんの『暗黒館の殺人』を読んだ時のことを思い出した(汗)
しかしながら、いちばん衝撃的なのは、この壮絶な合戦は、一向宗の大坂本願寺と織田信長との雌雄を決する戦なのだけど、
それに参戦している海賊や泉州侍たちには、そんなのはどうでも良いということ。
いかに阿呆を貫き通すかということだけ。
それは要するに、自分の美学の為だけに命をかけてる、ということ!!
極楽往生のために戦っている本願寺の門徒ともまた違う。
こういう人たちがいたんだな。
「男がほんまに望んだら、絶対諦めたらあかん」
「でも、絶対叶わない望みだってあるぞ。どうするんだ」
(中略)
「知れちゃら」
七五三兵衛は、そんな景の問い掛けを一笑に付した。
「叶わんまま死ぬだけじょ。せやけど踏ん張った自分(わが)ちゅうもんだけは残る。へこたれたらあかん」
(上巻P.325)
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どさくさ紛れに最後にひとつ正直な感想を書いておきますが、
『のぼうの城』もそうだったけど、私は個人的に、こまっしゃくれた子どもが登場して来る展開は苦手。
了見が狭くてすみません。