『55歳からのハローライフ』 村上龍著 | 読んだ本とか備忘録

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草をわけて 続く道と
みえない空の道が
どこかで 出逢いそうな日
モーツアルトの木管がなっている

――岸田衿子 『ソナチネの木』より

希望は、国ではなく、あなた自身の中で、芽吹きを待っている。
多くの人々が、将来への不安を抱えている。だが、不安から目をそむけず新たな道を探る人々がいる。
婚活、再就職、家族の信頼の回復、友情と出会い、ペットへの愛、老いらくの恋…。
さまざまな彩りに充ちた「再出発」の物語。最新長編小説。

ごく普通の人々に起こるごく普通な出来事を、リアルな筆致で描き出した村上龍の新境地。
(単行本の帯より)

最新長編小説とありますが、実際は中編5つの連作小説です。

これは……読み手の年代で、かなり感想が違って来るのでは。
実際に55歳という年齢を過ぎて、それなりに第2の人生を送っていて、
かつ村上龍を読む、という生活をされている方なら、ものすごく共感を持って読めそうですが。
(あくまで想像)

私は、しんどかったです…。
まだこれから先の人生に、こういうハードルが待ち構えてるかと思うと。

ならこれを教訓に今からどうにか対策を練ろよ、って突っ込まれそうだけど。
今は厳しい時代ですが、今後は更に厳しくなるだろうし、
どうにも暗澹とした気分になる私であった。

うーむ…人間て余生の時間が長くなり過ぎたのではなかろうか。
…と、人生の再出発へのエールを送る本書に対して、辛気臭い感想を書くしょーもない私ですが。

でも、「ペットロス」の以下の一文は、本当にそうだと思う。
私が飼っていたあんな小さなネズミでさえ、まったくこのとおりで、
私は、ネズミから、死ぬことも楽ではないこと、あの小さな身体でそれを乗り越えた彼に恥じぬよう、
私も最後まで生きて、同じようにそれを乗り越えなきゃならないことを学んだのであった。
(って何の感想を書いてるのやら)

「人間でも犬でも、息も絶え絶えになってからでも、死の間際にでも、他の人に勇気と感動を与えることができるのだと、強く実感した。だから、たとえ、どれほどの苦しい状況に追い詰められても、簡単に死を受け入れてはいけないのだ。ボビーが、そのことを、身をもって教えてくれた。生きようという姿勢だけで、いや存在するだけで、ボビーは私たちに、力を与えてくれたのである。合掌」
(単行本P.257)