毎年1回だけ受けている。(2回あるんだよね)
結果はどうでも良いけれど、国語教師の私としてはどんな文章が出題されたか気になる。
出典は
村石しい子『みんなのためいき図鑑』。
出題された箇所は、保健室登校の加世堂さんが「ためいき図鑑」作りに参加するかどうか、の緊張感ある場面。
とても良い箇所の出題だと思う。
「ぼく」は加世堂さんが得意なイラストで参加したいと願っているが、同じ班の小雪もイラストを描きたいと言っている。
加世堂さんに教室まで来てもらい、小雪とその件について話して欲しいと「ぼく」は頼む。
「ちょっとむりしてよ」と。
保健室登校の加世堂さんにとって、教室に来る、というだけでも大きな葛藤だったはず。
でも加世堂さんは来るのだ。
加世堂さんは「絵はわたしにかかせてくれへんかな」と小雪にはっきり伝えることができ、小雪も「いいよ」と応じる。
しかし小雪はそのかわり、四人分はインタビューで「ため息調査」してよと加世堂に迫る。
教室に来るのだって大変だったのに、その上、インタビューなんて、嫌がらせ? と「ぼく」は心配になる。
だがインタビューを受けていない4人が実はいた。
それは「ぼく」と小雪を含むこの4人のグループだった、という展開。
出題も「ぼくは心の中で感謝した」とありますが、「ぼく」は何に感謝しているのですか。
というもの。
解答は「小雪が絵をかく役割を加世堂さんにゆずってくれ、加世堂さんがクラスの人たちとふれあうきっかけを作ろうとしてくれていること。」である。
素晴らしいね。
まずこの小説の展開がよくできている。
「ぼく」が加世堂さんを保健室から連れ出すわけだが「ちょっとむりしてよ」がいい。
大人は保健室登校の子どもに無理をさせない。
だが、社会はちょっと無理しなければならない場面がたくさんある。
絶対にできないことをさせるのではない。
「ちょっとむり」は日常大切なのだ。
そして、加世堂さんが勇気を持って教室に来て小雪に自分の意見を伝える。
小雪も「いいよ」というが、小雪はさらに加世堂さんに迫る。
「インタビューしろ」と。
加世堂さんに、さらに「ちょっとむりしろしろ」いや「だいぶむりしろ」と言うのだ。
「ぼく」は嫌がらせを心配するが、小雪の方が上手。
自分たちにインタビューすることで、加世堂さんをさらに輪の中に加える算段をしていたのだ。
なんて小雪が賢いのだろう!
加世堂さんの葛藤や「ぼく」の心配。
はらはらする展開に、ほっとして涙が出そうになる。
良い小説に、良い出題。
この場面を選んだ出題者はなかなかできる人だと思う。
成績がどうのこうのではなく、この出題箇所を読めただけでも、全国の小学3年は良かったと思います!
これをきっかけに、この小説を読むといいね。
ぱーこにも言ってみようっと!