『年鑑代表シナリオ集』
という本がある。
その年に上映された映画で最も優れていたと思われる10作品のシナリオ集。
2020年の中にこの作品があったので、観たいと思っていた。
あらすじは、
浮気している男Aの浮気調査依頼された男探偵Bの恋愛。
しかもBは大学時代から8年間もAが好きだったのだ。
ふむー
よくできている。
浮気を妻にばらされたくないAは、Bの要求を飲むうちに、自分を深く愛してくれているBに惹かれていく。
初めは
男となんて!
と思っているAが、徐々にBを好きになっていく様が自然。
もう、男とか女とか関係なく、素敵な人は素敵だし、好きな人は好きで良い。
そもそも私たちの世界が想像上に成立しているのだから、どんな展開だって許されるのだ。
相手を傷つけ、その尊厳を損なわないならば。
女というだけで愛されるという時代は終わった。
このブログを読んでいる友人(最近読んでないと思う)が、高校生の娘に言った言葉。
「もうすぐ若い女というだけでお前にもモテキが来る」
だったか。
そうかなーと私は思う。
若い女というだけでモテる女もいるけれど、そもそも全員がそうでははない。
それにその考えも、バブルの残り香で生きていたような私たちの若い時とも異なる。
しかも、友人の言うモテるとは、心からお前を愛してくれる人物が現れるというわけでなく、お前を性欲のはけ口として見る男が多くいるだろうから気をつけろ、である。(たぶん)
しかし今の若い子たちは、もっとドライでもっと現実的だ。
貪欲に性欲を振り回すなどしない。
そういう価値観の元、生きている。
だから最早、
若い女だからモテる
という古い価値観は通用しない。
男でも女でも、誰かをものすごく愛し愛されるということが、
できるかできないかは、
若かろうが老いていようが、その人の人生を豊かにする。
閑話休題。
この映画は、成田凌の一途な思いと
人を愛したことがない大倉忠義が人生で初めて人を好きになる素敵な映画だ。
そこに性別も古臭い常識もいらない。
ただただ愛し愛されることを感じるのみ。
良い映画でした。
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ここまで書いて、物語的にどこが面白かったかを書くことを失念していたことに気づく。
補足。
一番展開的に面白かったのは、
うまくいきかけた二人の間に女Cが登場し、
男B対女Cの嫌味の応酬、男の取り合いになるところ。
いったん女の勝利に見えるが、
でも結局男Aは戻ってくるんだな。
こちらの期待をいったん裏切るという流れが、物語を豊かにするのだった。
(いつも忘れてしまうけど、大事)
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