谷山浩子原案、音楽の「真夜中の太陽」が入ったお芝居「ラフカット」を
  見てきました。



全労済ホール/スペース・ゼロ20周年記念

「ラフカット2009」

 ラフカット15周年スペシャル 

  第一話 「職員会議」  脚本 G2/演出 堤 泰之
  

  第二話 「真夜中の太陽」 原案・音楽 谷山浩子

                    脚本・演出 工藤千夏<青年団リンク・うさぎ庵>

  第三話 「アンデスの混乱」  脚本 鴻上尚史/演出 堤泰之 

  第四話 「父を叩く」  脚本・演出 堤泰之

     

今年もオールキャストオーディションによる第15回プロデュース公演を行います。30分の短編が4話。4人の作家による書き下ろしです。



    見てきた翌日、谷山浩子で検索をしてみると、ラフカットを書いている方がいた。
    その方は、4話の中で「真夜中の太陽」が一番良かったと書いていた。
    昨日も検索してみると、「真夜中の太陽」の評価が高い。

    何故検索したかというと、私は演劇を見たのは、アタゴオル以外では、今回が
    初めてで、感想に自信がなかったからである。それと谷山ファンだから贔屓目が
    あると思われるのもいやだったからである。

    感想は、物語にスーッと入っていけたこと。感動もしたが、切ない感じもあった。
    もちろん、4話の中で一番引き込まれて、ストーリーも演技も自然に感じて、
    素晴らしかった。
    そしてあの暗くて重たいと思っていた、「真夜中の太陽」が少し明るく、前向きな
    歌に聞こえたことがとても新鮮だった。まさかこの曲がこのような設定で使われると
    は思わなかった。どのような設定で使われると思っていたのか。と聞かれても困るが。

    もちろん他の3話も良かったと思うのだが、今ひとつピンと来なかった。というのが
    正直なところ。
    

    行ったのは2日目でした。お昼ぐらいに、今日は行けると思い、電話してみると
    「当日券あります。」とのこと。 18時すきに新宿の全労災ホールに着きました
    この会場は、谷山さんが毎年猫森集会を行っているところ。勝手知ったる道でした。

    チケットを買って席番をみてみると、1列。一番前。しかしこれはチケットが
    売れていなかったわけでなかったようで、開演のときには、席は9割方埋まってました。

    
    第2話の「真夜中の太陽」の設定は、戦時中の女学校。高校生くらい。
    最初の場面は、教室に、楽しそうに話をしている女生徒12人くらいと外国人の先生。
    服装は、上は、制服、下は もんぺ姿。生徒のなかになぜかおばあさんが混じっている。


    そしてピアノに合わせて、皆で「真夜中の太陽」を歌い出す。
    しかし歌い出したところで、大きな爆撃音で歌は中断。空襲だ。逃げ惑う生徒。
    防空壕へ。
    時代は戦時中であることがわかります。

    そして、外国人の先生は、戦争が始まっために、国外退去になり、アメリカヘ
    帰るという日、「真夜中の太陽」を歌って送ろうということで、再び合唱しようと
    するが、空襲で、中断。

    そして、生徒の中に混じっているおばあさん姿の生徒は、「防空壕に行かないで。」と
    叫びますが、生徒は行ってしまい 一人を残して皆死んでしまいます。
    生き残ったのは、今おばあさんになっている、その生徒。

    このあたりは、現在と過去が行き来していきます。
    おばあさんは、現在82歳。一人だけ生き残ったことが、申し訳ないという
    気持ちになって、ずーと心にひっかかっていた。

    おばあさんは、ひとり音楽室でピアノをひいていて、助かった。音楽室には爆弾は
    落ちなかった。

    そして、おばあさんと、当時の年齢のままの、死んでしまった、クラスメイトと
    再会して話をします。


    生徒たちは、クラスメイトのおばあさんに、その後の人生のことをたくさん
    明るく 問いかけます。

    「仕事はしたの?」  「看護婦になった」と答える。

    「旦那さんは?」   「こどもは?」 「孫は?」

    「今旦那さんは?」   「7年前(だったか)亡くなった」

    彼女たちは、一人生き残ったおばあさんを恨んだりはしていなかったことがわかります。

    この場面が一番印象に残って、ほんとに良いシーンだったと思う。


    そして、あの時歌えなかった、「真夜中の太陽」を合唱します。
    外国人の先生もいます。当時の担任の先生もいます。

    今度は最後まで歌えた。

    とても良いストーりーです。役者さんたちの演技も歌も良くて、自然に引き込まれていった。
    そして、最後のほうでは、このおばあさんと 自分の母親と少しだぶって見えた。
    自分の母親は、このおばあさんよりは、若いが、やはり、戦時中は、中学生くらいだったか。


    母親は、東北の田舎町に住んでいたので、空爆とかはなかったが、それでも
    防空頭巾をかぶったり、灯火管制があったりしたそうだ。
    今年老いて、人生において何か後悔というか、そういうものがないのだろうか
    と思ってしまった。
    
    
    この劇の中での「真夜中の太陽」は外国曲と言う設定で、それを日本語に翻訳した
    というものでした。

    女声3部合唱(工藤千夏さんの日記にあった)とのことで、少しアレンジされていた
    と思うが、役者さんの歌も素晴らしかった。重く、暗い曲だと思っていた
    この曲が前向きな曲に聞こえてきたことには、びっくりだった。
    そしてこの曲が合唱曲になるということも。

    この曲。昔は良く聞いたが、ひょっとして、ここ10年くらい聞いてなかったが、
    再び聞こうと思っています。

    谷山さんの曲をモチーフしたお芝居。是非また作って欲しいです。

    最後に、心残りなことが。
    10分間の休憩のとき、ロビーに出たら、谷山さんを見かけました。 
    マスクをされていたので、一瞬ではわからなかったのですが、すぐに気づき、
    私は一瞬ですが、思考停止状態になってしまいました。

    そしてその場をすぐ離れたのですが、それは、谷山さんを見かけてもなぜか
    話かけるのはやめようと思っていたもので。
    しかし、一声かけても、(挨拶でも)良かったかな、と少し後悔しています。