分娩室に入ると
産後の処置が始まった・・・

赤ちゃんを産み終えたのに
お腹は痛いまま
顔が歪み、うめき声があがる

看護婦さん
「ひかげさん痛い?まだ痛い?」

「痛いです」

看護婦
「あぁまだ残っとるね。痛いけど我慢してね」

そう言って器具をいれられ
胎盤?を引っ張り出されたり
点滴されたり
子宮マッサージされたりと
バタバタと看護婦さん達が
処置をしていった

看護婦さん
「ひかげさんが持ってる可愛いタオルで赤ちゃん包もう」

そう言われ
赤ちゃんをタオルにくるんだ

「赤ちゃん抱っこする?」っと旦那に聞くと

旦那
「俺が抱っこするよりも赤ちゃんはひかげに抱っこされる方が一番嬉しいと思うから今はいいよ」

そう言われたので
再び赤ちゃんを胸の上で抱き
もごもごと動く赤ちゃんをじっくり見る
小さなお尻がとても可愛く愛おしく
頭を何度も何度も撫でた・・・
長女に似てるね・・・
大きいね・・・
眉毛そっくりだね・・・
なんて旦那と話しながらいると

再び赤ちゃんが声をあげた
小さな小さな声だった・・・

数分後
処置の痛みから解放され
タオルの上からではなく
赤ちゃんの体に直に触れると
温かかったはずの
体は・・冷たくなっていた・・・

今さっきまで
もごもごと動き声をあげたばかりなのに

「ねぇ・・赤ちゃん知らない間に死んじゃった・・痛みばかり気にして この子が生きていた時間をちゃんと向き合ってあげれなかったよ・・」

そう言うと旦那は

「そんな事ないよ・・・」っとだけ呟いた

そして
看護婦さんを見ると
へその緒の処置にとりかかろうとしていた。

私は亡くなった赤ちゃんを抱き抱えたまま
体を起こし

「すいません。へその緒は私が切ったらダメでしょうか?」

っと尋ねたが

看護婦
「血を取る処置をしないといけないので・・・でも へその緒がとれそうなら ひかげさん持ち帰りますか?」

「そうですか・・・わかりました。へその緒取れたら下さい」

そう言って再び横になり
赤ちゃんを撫でた・・・
気付けば先程まで居た看護婦さん達は居なくなり
分娩室には旦那と赤ちゃんと私の3人だった。

旦那
「生きてたら長女が抱っこしたり・・ミルクあげたり、一緒に遊んだり色んな事をしてあげれたのに・・・父親なのに何もしてあげれないなんて・・そう考えると悲しくなる・・・・」

涙目になりながら呟き俯く旦那を見て

そんな事を思うなんて
なんて優しい旦那なんだろう
なんて優しい父親なんだろう
そう改めて思った・・・

そして
私は娘が胸の上で亡くなったばかりだと言うのに不思議と悲しいという気持ちや涙は一切無く
ただただ「無」っという感情のみだった

どれ位の時間が経ったのだろうか・・・
先程よりも赤ちゃんの体は冷たくなっていた

看護婦さん達が再び戻ってきて
病室に私を運ぶ準備をした

病理検査の先生もきて
赤ちゃんがこれから受ける説明を受けた

先生
「一部を切り取りますが出来る限り綺麗な状態でお母様の所に娘さんをお返します」

「娘を宜しくお願い致します。」

そう言って頭を下げ娘を託した・・・



続きます。