しょーもないじゃれ愛コラボスペシャルトロピカルカクテル

 

まず初めに、サイコロを振りますうずまきサイコロ

「はあ!?💢(クラユリ&AO)」

 

 

 

タピオカドリンク1

 

「ねえねえクラウス、タピオカドリンク飲みたぁい」
すりすり。
「またかよ? この炎天下に並ぶのかあ?」
うんざり。
「駄目……?」
(碧の瞳)うるうる。
「うっ……! わ、分かったよ! 並んでる最中に倒れても知らないからなっ」
やけくそ。
「そうしたら、クラウスが介抱してくれるんでしょ?」
るんるん。
「してもいいけど……、介抱だけじゃ済まないぜ? ん?」
にやにや。
「なっ……! え、えっち!」
めらめら。
「さあて、いっちばん暑い列に並ぶかぁ」
うきうき。
恋人の手を引っ張って歩き出す邪心みえみえの男。
「もぉう、絶対に倒れないからね! ばかっ!」
ぷんぷん。
しかし、ついてゆく。

 

《彼女を操ることに成功。5マス進む》

 

 

 

 

タピオカドリンク2

 

友人たちのやり取り(いちゃいちゃ)を、遠目に見ていたアンドレ君。
「可愛いなぁ、ユリウスは。たまにでいいから、オスカルもあんなふうに甘えてくれないかなぁ……」
噂をすれば影。
「アンドレ、タピオカドリンク飲みに行くぞっ」
アンドレ君には視線も向けずに直進する。ブロンドの髪をふぁっさーとひるがえし。非常に勇ましい。
「え……? う、うん」
言い方も態度も全然違う……、と心で嘆くアンドレ君。
「オスカル、分かってると思うけど……、凄く並んでいるよ」
お前、待たされると機嫌が悪くなるだろう? と心で呟くアンドレ君。
「そんなことは分かっている」
すたすたすた。
「それに、この炎天下だし、熱中症になるかもしれないよ?」
「そうなったら、お前が介抱してくれるんだろう?」
「えっ!?」
「して……くれないのか?」
揺れ動くサファイアの瞳。暫し考えるアンドレ君。
「……してもいいけど、介抱だけじゃ済まないぜ? ん?(誰かの完コピ)」
おおっ! チャレンジャー。
さあ、グーが飛んでくるか! 身構えるアンドレ君。
……あれ?
目の前で、わなわなと躰を震わせ、両腕も震わせ、顔も震わせ、茹で上がりだす乙女がひとり。
「ば……ば……ば……、ばかっっ!」
「ば……」と言う度、後退り、最後の「ばかっっ!」で逃げ出した。
「オスカル! 待ってくれっ!」
「アンドレのぶわぁかあぁ~!!!」(成長してない)

 

《彼女が逃亡。一回休み》

 

 

 

 

タピオカドリンク3

 

「う~、気持ち悪い……」
案の定、ぷち熱中症になり、ふらふらのユリウス。
「だから言わんこっちゃない。屋根もないところで、一時間も立ちっぱなしでよ」
やれやれ。
クラウスに支えられ、何とか家に辿り着き、そのままベッドにバタンキュー。
「タピオカドリンク、冷蔵庫に入れておくからな」(しっかり買った)
「ぁ……りがと……」
もうろう。
「少しだけ起き上がれるか?」
クラウスが冷たいタオルと氷水を持ってきた。
「うん……」
ユリウスはグラスに口をつける。からん、と氷が鳴った。
クラウスはユリウスの頬にタオルを当てる。
「はぁ……つめた……」
「少し休んだほうがいい」
仰向けになったユリウスの額に、クラウスは瞼まで覆うようにタオルをのせた。
ほっそりとした手が、ふらふらと伸びてくる。クラウスが、その手を握った。

声にならない声が零れる。
──行っちゃ、やだ……。
華奢な腰がゆるゆると横を向くと、リネンのフレアスカートがめくれ、太腿が露わになった。
紅潮した頬とは対照的な淡彩な青。
クラウスは、そこへ、もう片方の手を届かせた。
「ほら……、介抱だけじゃ済まないって、言ったろ……?」

 

《思惑通り。上がり》

 

 

 

 

タピオカドリンク4

 

男は女に追いついた。
所詮、男の足には敵わない。当然男の力にも。振り解けない腕を引き寄せて、その躰を取り込んだ。
離せ……と女が強く押した。
冗談が過ぎた……、
と男が謝る。
女は黙ったままだ。だが、抵抗は徐々に弱くなっていく。
冗談だったのか……?
女が独り言のように呟いた。
冗談が半分、本音が半分……かな。
男は笑って囁いた。
厚くて熱い胸に抱かれ、脆弱で柔らかな肢体を抱いて……、

 

「茶番は終わりだ。行くぞアンドレ」
「へ……?」
男の隙をつき、容易く腕を振り解き、女は当初の目的地へ。
すたすたすた。
「お……オスカル……」

 

《タピオカドリンクを買うために一時間並ぶので、振り出しへ戻る》

 

「この差は何だあ~!?」
アンドレ、魂の叫び。

 

 

 

 

おまけ1/繰り上げ上がり

 

「オスカル、暑いだろ? 大丈夫か?」
「何のこれしき。へっちゃらだ」
タピオカドリンクの行列を半分ほど過ぎたところだった。
「アンドレ、お前、どうしてそんな変な角度で立っているんだ?」
アンドレは、行列の外側で、オスカルに対してほぼ垂直に躰を向けていた。まるで立ちはだかる壁のように。
「うん。まあ、この方が都合が良いんだよ」
「……ふぅん」

 

オスカルは、今一つ意味が分からなかったが、暑くて面倒だったので、聞き返すのは止めにした。
行列は、残り3分の1くらいになった。
「あっ」
その時、オスカルが短い声を上げて下を見た。
バッグから取り出そうとしたハンカチを、うっかり地面に落としてしまったのである。
「いいよ、俺が拾うから」
アンドレが腰を屈めると、突然目を開けていられないほどの眩しさと熱気がオスカルの顔を襲った。
オスカルは、アンドレが自分の躰で日陰をつくってくれていたことに、この時初めて気がついた。

 

「ほら」
ハンカチを手渡してくれた彼の額は、幾筋もの汗が滴り落ちていた。片手で彼の背中を触ったら、びっくりするほど熱かった。オスカルは、腕を伸ばしてアンドレの汗を拭った。
アンドレは少し驚いたような顔をして、「ありがとう」と言ってから、同じハンカチで彼女の鼻の頭の汗をちょんちょんと拭いてくれた。
「次の方どうぞ~」
漸く、順番が回ってきた。
アンドレはタピオカドリンクを受け取り、オスカルに手渡す。
「お前が先だ。飲め」
オスカルは、それをアンドレの口元にもっていく。
「え? 良いの?」
「いいから飲め」
アンドレは素直に従う。冷たさとタピオカが数粒、口中を満たした。
「美味しいよ、オスカル」
アンドレがにっこり笑う。
こんなに暑いのに、何だかちょっと幸せだった。

 

 

 

 

 おまけ2/ダブル・デート

 

あれから、ユリウスは30℃以上の気温の日は、行列禁止を言い渡された。本当は不満だったが、あの日、ベッドに倒れ込んでからの出来事を思い出すと、熱中症になった時よりも、かあっ……と躰が熱くなるので、仕方なく諦めた。
数日後、気温28℃の日、今度は四人でタピオカドリンクの行列に並んだ。
雲ひとつ無い晴天。28℃とはいえ、日差しは容赦なくパリの石畳に照りつける。

 

「あーあ、今日もまた一時間待ちかよ」
文句を言いながら、長身の恋人たちは腕を組み、迷うことなく列の外側に直立した。まるでノートルダム大聖堂のように。
中くらいのオスカルの横にはアンドレが、小さいユリウスの横にはクラウスが、当たり前のように影をつくる。
けれども、それが当たり前ではないことを、彼女たちは知っている。
それぞれの恋人の背中と額に、愛情という汗が流れていることも。
オスカルとユリウスは、買ったばかりの二つのタピオカドリンクを、迷うことなく彼らの口へ持っていく。

 

クラウス「うええ、甘っめーー!」
ユリウス「文句言わないっ!」
アンドレ「美味しいよ、オスカル」
オスカル「そうか、遠慮しないでもっと飲め」
クラウス「お前ら、太るぞ」
オスカル「うるさいっ!!」

 

 

 

 

 

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村