待ちの時間に秋の奇跡 | 一口馬主のひとりごと

待ちの時間に秋の奇跡

就職先も決まり、あとは時間が経つのを待つばかり。


秋を迎えたユニオン1期生たちは、結構苦戦を強いられていました。

この辺は今もあまり変わりありませんね。


その中でただ1頭、果敢に重賞に挑戦する牝馬がいました。

そう、サンドピアリスです。

夏までに2勝を挙げ、言わばユニオンの出世頭ではありましたが、

その名の通り、ダートでの2勝であり、誰の目からも芝の重賞は少々荷が重く、

かく言う私でさえ、クラブの売名行為のような気がして気恥ずかしさを覚えたものでした。


この年のエリザベス女王杯のイベントには酒井法子さんが来られていて、

お昼休みに芝コース中央でインタビューと歌を披露されていました。

(恥ずかしながら見に行ってました)

柵越しに、取り巻き数人と競馬ファン(のりピーファンでない人たち)が小競り合いをしていたのを

今でもはっきりと覚えています。(なかなか険悪でしたよ)


レースの結果はご存知の通り。

奇跡は起きました。


こんな事が起こるんだ!

私は、場内の騒然とした雰囲気とはまた違う動悸を感じながら、

スタンドから一歩も動けずにコースを見つめていました。


勝利騎手インタビューで、初々しい岸騎手のはにかんだ表情が忘れられません。

インタビュアーが「最後にファンの方に一言」とマイクを向けていましたが、

最低人気のサンドピアリスを応援していたファンがそんなにたくさんいるわけも無く、

そのことを良く分かっている岸騎手は、馬券を外した多くの競馬ファンを前にして、

気まずそうに「どうも、応援してくれてありがとうございました」

と答えていたことを思い出します。


興奮が治まってくると、今度はどうにも抑えきれない期待感が盛り上がってくるのでした。

「これはいいクラブに入会したぞ。こりゃあ本当に皐月賞いただきだー」


このデビューを待つ間の際限の無い夢見心地は、

馬を持つものにしか味わえない、最高の時間となりました。


皐月賞いただきー!