迷宮探索記
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俺の名前はワイト。
ワイト・ボールドマン。
一介の冒険者、というと聞こえは良いが、まぁつまりは流れ者のなんでも屋だ。
代々騎士の名門だったボールドマン家に生まれた落ちこぼれ。
どこの騎士団でも問題を起こして追い出された厄介者。
まぁ、そんな所だ。
俺は今、エトリアという街を目指している。
何の変哲もないこの街で発見された、地の底まで続こうかという深淵を思わす巨大な地下樹海の迷宮・・・。
通称“世界樹の迷宮”で知られる街だ。
名も知らぬ草花が不可思議な果実を付け、見たこともない獣たちが徘徊するその森には、莫大な財宝が眠っている・・・・。
そして、富を、名声を、権威を、そして何より飽くなき冒険心を求める冒険者達がそこに集った(※1)。
俺もそれを目指す一人だ。
エトリアにたどり着いた俺は、まずは酒場に向かった。
別に酒が欲しかったワケじゃない。
欲しいのは“情報”だ。
どんな街にも「組織」って物が存在する。
「郷に入っては郷に従え」って言葉もあるくらいだしな。
その街のやり方に逆らったってだけで命を落とすことだってある。
「知らなかった」は通用しないのだ。
まずは酒場にたむろしてるヤツらに酒でも奢って、この街のやり方ってのを知らなきゃな・・・。
「あ、あんた新人さん?だったらここに来る前にギルドと執政院行ってきな」
酒場の扉をくぐった途端に酒場の女将らしき女性に情報をもらえた。
どうやら、俺みたいな流れの冒険者はごまんといるらしい。
冒険者ギルド。
同じような役割の組織は至る所にある。
おそらく、迷宮が発見された当初は無かったに違いない。
しかし、冒険者同士のいざこざや発見されたお宝を巡る争い、それらのもめ事は当人同士では絶対に解決なんてしやしない。
その上、欲に目がくらんだヒヨッ子どもは日に日に押し寄せてくるのだ。
初心者を導き、上級者を牽制する。
色々な意味で、こういった組織が出来上がるのは自然なことなのだ。
その街の顔役やゴロツキ共、組織の裏方はその街によって異なる。
この街ではその“執政院”とやらが裏で仕切っているのだろう。
確かにギルドでは、様々なことを教えてくれた。
冒険者同士のグループ(これもギルドと呼ばれる)に必ず属さなければならない事、迷宮は5人一組のパーティーを編成して望むこと、街の色々な施設の利用方法、大まかなダンジョンの状態・・・・・そして「執政院には逆らわないように」という忠告。
どれも、「命に関わる」情報だ。
肝に銘じるとしよう。
「どうする?新入りを探してるギルドを紹介しようか?」
そう聞かれたが、もう既に「掟」が出来上がっているグループに入るのは性に合わない。
俺は自分のギルドを立ち上げることを選んだ。
ギルド名は“グルンガスト”(※2)。
「グルンガスト」ってのは俺の御先祖様で、たいそう活躍した騎士だったらしい。
俺の家の守り神みたいなもんだ。
俺の兄が都で結成している騎士団(俺はそこを飛び出してきたワケだが)の名前もこれだ。
家を飛び出した落ちこぼれがホイホイ使って良い名前じゃなかろうが、縁起を担ぐのも時には必要だ。
このくらいは御先祖様も許してくれるだろう。
「ギルドを立ち上げるって、仲間のあてはあるのか?」
確かに一から仲間を集めるのは苦労するだろうが、今までもいつもそうしてきた。
もう慣れっこだ。
酒場に行くと、さっきギルドのことを教えてくれた主人が快く迎えてくれた。
おそらくギルドから報せでも来たのだろう。
主人からはもっと細かに街の施設のことを聞くことが出来た。
宿屋、施薬院、商店、酒場、ギルド、それと執政院。
これが俺たち冒険者が主に利用する施設だ。
これはどこの街もさほど変わりない。(※3)
ギルドでパーティーを登録し、商店で装備を調え、宿屋で身体を酒場で心を癒し、それでも癒されないほどの傷は施薬院で薬を調合してもらい、そして執政院の見張りの元で穴蔵に潜る。
どこも同じだ。
店の壁際、一番端のテーブルに腰掛けると、俺は店を注意深く見渡した。
酒場はかなり繁盛していた。
お上品そうなヤツからどう見てもゴロツキか、下手したらモンスターに間違われそうなヤツまでよりどりみどりだ。
このウチのほとんどは何らかのギルドに属しているのだろう。
迷宮が見つかってからもう3年になるだろうか。
俺のように今頃のこのこやってきてギルドを立ち上げるような人間は少ないに違いない。
ギルドで俺のことを聞いたのか、値踏みするような目でこちらを伺っているヤツらもいた。
注意深く見渡すと、ギルドに属していないような新入りもちらほら見かける。
ほとんどの新入りは自分の主義主張を曲げてでも既存のギルドに属する。
それが世の中を上手く渡っていくコツってもんだ。
でも、中にはそれが出来ないヤツらもいる。
俺みたいなヤツだ。
俺が探しているのもそういうヤツらだった。
集まったのは4人。
俺を入れればギリギリ迷宮の攻略が出来る人数だ。
ギルドのおっさんが言ってたな。
「パーティーが組めたなら、執政院に行きな。そこで試験が行われる」
まぁ、俺を含めてこの迷宮では初心者同然のパーティーがどれだけ出来るのかは分からないが、何とかやってみるさ。
変わり者揃いのパーティーを引き連れて、俺は執政院に向かった。
――To be continue――
※1:ネットもないこの世界でどれだけ噂が広まるのかは謎ですが
※2:『鋼の巨神』と言われてるとか言われてないとか
※3:Wizと全く同じですな。願わくばここの商主が“ボルタック”並の強欲商人ではありませんように
俺の名前はワイト。
ワイト・ボールドマン。
一介の冒険者、というと聞こえは良いが、まぁつまりは流れ者のなんでも屋だ。
代々騎士の名門だったボールドマン家に生まれた落ちこぼれ。
どこの騎士団でも問題を起こして追い出された厄介者。
まぁ、そんな所だ。
俺は今、エトリアという街を目指している。
何の変哲もないこの街で発見された、地の底まで続こうかという深淵を思わす巨大な地下樹海の迷宮・・・。
通称“世界樹の迷宮”で知られる街だ。
名も知らぬ草花が不可思議な果実を付け、見たこともない獣たちが徘徊するその森には、莫大な財宝が眠っている・・・・。
そして、富を、名声を、権威を、そして何より飽くなき冒険心を求める冒険者達がそこに集った(※1)。
俺もそれを目指す一人だ。
エトリアにたどり着いた俺は、まずは酒場に向かった。
別に酒が欲しかったワケじゃない。
欲しいのは“情報”だ。
どんな街にも「組織」って物が存在する。
「郷に入っては郷に従え」って言葉もあるくらいだしな。
その街のやり方に逆らったってだけで命を落とすことだってある。
「知らなかった」は通用しないのだ。
まずは酒場にたむろしてるヤツらに酒でも奢って、この街のやり方ってのを知らなきゃな・・・。
「あ、あんた新人さん?だったらここに来る前にギルドと執政院行ってきな」
酒場の扉をくぐった途端に酒場の女将らしき女性に情報をもらえた。
どうやら、俺みたいな流れの冒険者はごまんといるらしい。
冒険者ギルド。
同じような役割の組織は至る所にある。
おそらく、迷宮が発見された当初は無かったに違いない。
しかし、冒険者同士のいざこざや発見されたお宝を巡る争い、それらのもめ事は当人同士では絶対に解決なんてしやしない。
その上、欲に目がくらんだヒヨッ子どもは日に日に押し寄せてくるのだ。
初心者を導き、上級者を牽制する。
色々な意味で、こういった組織が出来上がるのは自然なことなのだ。
その街の顔役やゴロツキ共、組織の裏方はその街によって異なる。
この街ではその“執政院”とやらが裏で仕切っているのだろう。
確かにギルドでは、様々なことを教えてくれた。
冒険者同士のグループ(これもギルドと呼ばれる)に必ず属さなければならない事、迷宮は5人一組のパーティーを編成して望むこと、街の色々な施設の利用方法、大まかなダンジョンの状態・・・・・そして「執政院には逆らわないように」という忠告。
どれも、「命に関わる」情報だ。
肝に銘じるとしよう。
「どうする?新入りを探してるギルドを紹介しようか?」
そう聞かれたが、もう既に「掟」が出来上がっているグループに入るのは性に合わない。
俺は自分のギルドを立ち上げることを選んだ。
ギルド名は“グルンガスト”(※2)。
「グルンガスト」ってのは俺の御先祖様で、たいそう活躍した騎士だったらしい。
俺の家の守り神みたいなもんだ。
俺の兄が都で結成している騎士団(俺はそこを飛び出してきたワケだが)の名前もこれだ。
家を飛び出した落ちこぼれがホイホイ使って良い名前じゃなかろうが、縁起を担ぐのも時には必要だ。
このくらいは御先祖様も許してくれるだろう。
「ギルドを立ち上げるって、仲間のあてはあるのか?」
確かに一から仲間を集めるのは苦労するだろうが、今までもいつもそうしてきた。
もう慣れっこだ。
酒場に行くと、さっきギルドのことを教えてくれた主人が快く迎えてくれた。
おそらくギルドから報せでも来たのだろう。
主人からはもっと細かに街の施設のことを聞くことが出来た。
宿屋、施薬院、商店、酒場、ギルド、それと執政院。
これが俺たち冒険者が主に利用する施設だ。
これはどこの街もさほど変わりない。(※3)
ギルドでパーティーを登録し、商店で装備を調え、宿屋で身体を酒場で心を癒し、それでも癒されないほどの傷は施薬院で薬を調合してもらい、そして執政院の見張りの元で穴蔵に潜る。
どこも同じだ。
店の壁際、一番端のテーブルに腰掛けると、俺は店を注意深く見渡した。
酒場はかなり繁盛していた。
お上品そうなヤツからどう見てもゴロツキか、下手したらモンスターに間違われそうなヤツまでよりどりみどりだ。
このウチのほとんどは何らかのギルドに属しているのだろう。
迷宮が見つかってからもう3年になるだろうか。
俺のように今頃のこのこやってきてギルドを立ち上げるような人間は少ないに違いない。
ギルドで俺のことを聞いたのか、値踏みするような目でこちらを伺っているヤツらもいた。
注意深く見渡すと、ギルドに属していないような新入りもちらほら見かける。
ほとんどの新入りは自分の主義主張を曲げてでも既存のギルドに属する。
それが世の中を上手く渡っていくコツってもんだ。
でも、中にはそれが出来ないヤツらもいる。
俺みたいなヤツだ。
俺が探しているのもそういうヤツらだった。
集まったのは4人。
俺を入れればギリギリ迷宮の攻略が出来る人数だ。
ギルドのおっさんが言ってたな。
「パーティーが組めたなら、執政院に行きな。そこで試験が行われる」
まぁ、俺を含めてこの迷宮では初心者同然のパーティーがどれだけ出来るのかは分からないが、何とかやってみるさ。
変わり者揃いのパーティーを引き連れて、俺は執政院に向かった。
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※1:ネットもないこの世界でどれだけ噂が広まるのかは謎ですが
※2:『鋼の巨神』と言われてるとか言われてないとか
※3:Wizと全く同じですな。願わくばここの商主が“ボルタック”並の強欲商人ではありませんように
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