朝まで風と雨の音がひどかった台風。

まだ、近くに来ているだけなんだけど、

真っ盛り状態だ。


夜中、カーテンを開け何度も外を見る。

街灯でかすかに見えていた波が白波を立てている様子。

暗くなるのかと思えば

そこまで暗くはならないのは不思議だよね。

台風なのに・・。

相変わらず、窓の隙間から水が入ってくるが

床までに達してないのはこれまた不思議。


遠くに島影が見えるのは

いつも噴火しているこの県のシンボル。

こちらのホテルと向こう側の間には海。

その真ん中位に船が

ユラユラと停船してるのが見えた。

なんだろうと?ちょっと調べれば

海上保安庁の船みたいだった。


すごいな~~~

いくら、内海でも転覆するんじゃないかの

レベルの風と雨だよ?

大丈夫なのかとそちらの方が心配になる。

そんな夜を超えて、いざ、出陣!!


と思ったが・・


外に出れるレベルじゃないんだけど

ほんのすぐそこにある病院。


「さあ、行こうか・・。」

「うん・・、出れる?」

「出るしかないでしょう・・。」


予約時間は9時だったため

ギリギリまでそこにいた私達。


車に乗り込み、

風の中に飛び込んでいった。

ほんとにそこなんですけど

結構ハンドルを取られ思うように進まない。

いつも入る裏口のところに車を止めたが

ビル街とあって突風がひどい。

これじゃドアを開けた途端に

ドアが吹き飛ぶくらいの勢いだ。


「こちらじゃ無理だから表玄関の方に回るね。」

「うん。」


とにかく、まずは娘を無事に降ろさねばと

表の方に回ればそこまで風が吹き抜けていない。

ありがたい!!

それに屋根がついていたから

荷物を無事に降ろすことができ、

娘を病院へと入れれた。


「お母さんは車を置いてくるから受付してなさい。」

「気を付けてね。」


また、裏の方へと向かい

専用の駐車場へと車を入れれば

さっきよりもひどくなってきた風と雨。


「よし!!着替えなきゃね。」


持って来ていた袋から取り出したのは

ポンチョとボロ靴。

ズボンも膝下くらいのものを履いていたので

靴下を脱ぎ、役に立たない傘をさして

外に出たんです。


駐車場からその建物の中に入るまで

約、15分ほどかかった私。

突風と雨に阻まれて前に進めない・・

時折、ひどい突風が吹けば

隙間に隠れて避難の繰り返しでした。


でも、よくよく考えれば、

娘を下ろしたそちらの方に回ればよかったのにと

思いますよね・・。

バカなんです、そこしか思いつかなくて・・。


病院に着いてすぐにトイレに入り

持って来ていたビニール袋から

避難していた服に着替え、

娘が待つ診察室を目指しました。

待っていた娘が

来るのが遅くなった私を気遣ってくれる

はずだったようなんですが、大笑い。


「遅かったね・・ぷっ・・ぐふふふ」

「??風がひどくて中々進めなくてさ?・」

「そりゃ、その格好を見れば・・。」

「ん?あ~~これね・・。」


私の姿が今お風呂から出てきましたよ!!

って、恰好だったらしいんです。

首にタオルを巻いて袋を抱えてたからね。


「コロナ検査は?」

「終わって、結果待ち。」

「今日も遅いかな・・。」

「いや、これだけ人がいないから早いと思うよ。」

「そっか、なら、いいけどね。」


一面ガラスの待合室。

その向こう側には6車線もある道路に

時より車が通るのが見えるが安全運転の様子。


「帰れるかな・・。」

「大丈夫でしょ、何なら、ビジネスホテルに泊まるし。」

「なら、いいけど・・。」

「私なら心配ないよ。」

「うん・・。」


結果を待つための合間に

唯一、病院にあるコンビニ。

お菓子や飲み物、

本などを買う時間となり、

買い物を済ませ、戻ると

コロナ検査の結果が出ていたんです。


陰性=開始

ということですよね・・・。


新たな戦いの始まりかな・・・