違う薬での投与が始まり、

 

3クール目と呼ぶのかと思えば

 

また違ったようで、


「これが1クルー目です。」


そうなのか・・・

また新しく始まるため、そう呼ぶ様だ。

むずかしい・・・

けれど、その効き目は先日投与したものとは

 

違って、的中したらしい・・。

本人はきついかもしれないけど

データーにはその結果が著しく良いとして

出ているみたいでした。

私なんか見てもわからないんだけどね・・。


辛い日々を過ごしながら、

そして帰れない日々も過ごしながら

月日が流れるだけ。

時より、宅急便の力も借りながら

水と着替えなどをもっていく。


会えない日もあればガラス越しで会える時もある。

大きな声で話せば聞こえるけど

携帯越しで顔を見ながら話もできる。


そんな日々を過ごし、3クール目が終わって

1日だけ外泊許可が出た。


「おお~~、嬉しいね。

何でも食べれるのかな・・。」

「うん、生もの意外だけどね。」

「そっかそっか・・楽しみだね。」


他愛のない会話。

少しでも気分転換できるようにと

娘の部屋のベッドシーツを変えた。

 

ついでにカーテンも変えた・・。


いつか帰ってくる娘のためにと

高性能と呼ばれる空気清浄機や

部屋やお風呂場の模様替え、

 

やれることをしていたから

準備は万端!!


さあ、迎えに行くぞ!!

と、おもいきや・・・


その日は大雨。

ましてや前線真っ盛り。


「マジか?」


娘曰く、

「私って天気に恵まれてるわ、変な意味で・・。」

その言葉を思い出し笑っていました。



病院に着けば、かわいらしいニット帽を

かぶって待っていた娘。

 

抗がん剤治療はすべての体毛を

 

つるつるにしてくれたみたいだ。

 

髪の毛もその一部。

 

悲しいというよりも本人は

 

「洗いやすいわ」

 

なんて言ってましたが、

 

私どもはいつも娘の言葉一つにも

 

救われてました。



それを見越したわけではないんですが

 

通販で似合うかなと思い2枚ほど帽子を

 

購入していた。

色黒だった娘が色白になっていて

薄オレンジ色のニットが良く映えていました。

(親ばかですみませんm(__)m)


「似合うじゃん」

「ありがとうね。」


何気ない会話が嬉しい

目の前に・・・

手を伸ばせば触れるところにいる幸せ・・・

泣きそうでした・・私が・・


挨拶を済ませ、ほぼほぼ手ぶら状態の娘を

車に乗せ、いざ、自宅へと出発。

(一日だけの外泊のためですから手ぶらで十分。)


だがその日は大雨。

ワイパーも効かないのか?というくらい・・。

線状降水帯という途方もない雨雲が

土砂降りの雨にしてくれていた様子。

途中、PET-CTを取ったところの近くの

レストランがおいしかったことを思い出し

昼食をそこで取ることになった。


傘も役に立たなかったが運よく駐車スペースが

出入り口の近くにあったためそこに止めて

主人が娘が濡れないように傘さし係をしてくれた。

(運転手は私だったためですがね)


窓際に案内され好きなものを選んで

少しずつ食べ進める。

胃が小さくなっていたためでしょか

半分ほどしか食べれず残念がってましたが

また来た時にたくさん食べれるようになってるよと

励ました私達。


少し小降りになった雨を避け

車に乗り込んだ途端に

またバケツをひっくり返したような雨、

家までたどり着けるか心配なほどでした。

高速道路も通れるか心配でしたが

私どもは制限速度はあるものの通れて一安心。

あと少しで通行止めでした。


「私ってほんとお天気に愛されてるわ。

赤十字に入院の時は雪だったし、今日は

線状降水帯?次は何だろうフフフ」

「・・・・・・」


こやつったら・・・


そんな会話を楽しみながら

外とは大違いの気分で家に着いたんです。


家に着けば部屋に入りベットへとなだれ込み

ゆっくりと息をついた娘。


「生き返るわ・・」

「そう?ご飯の準備をするからゆっくりしてなさい。」


リクエストにこたえるように

茶碗蒸しやら煮物に少しの唐揚げ

口に入れるだけでもいいからと好物を作りました。


夕飯も3人で楽しみ、

ひとときの時間を過ごしました。


そこまで遅くない時間、

おやすみの確認をしに部屋に行けば

やけにきつそうな様子。


「どうかした?」

「・・・うん・・熱がでてきたみたい・・。」

「おお?測って見なさい。」


部屋に入り、数十秒で測れた熱は

38,5度

環境のせいか?


「病院に連絡は?」

「した。看護師さんが持たせてくれた薬を

飲みなさいって。」

「そっか」

「それからなるだけ早めに帰ってくるようにだって。」

「わかった・・。じゃ、早めに出ようね。」

「・・・うん」


悲しそうな声・・・

わかるよ、その気持ち。

でもね・・今が肝心な時だからこそ

心を鬼にしてそう言ったんだけど・・・。


でも

私の方も、ものすご~~~く落ち込んだのは

言うまでもなかったんですがね・・・