夜が明けたら、そこは素晴らしい景色でした。


石川県輪島市に来てますよ。


災害復旧の仮設ハウスをさいたま市から運んで来ました。もう輪島市へは3〜4回ハウスを運びましたよ。少しでもお役に立てればいいな。


待機していた駐車場で、目の覚めるような美しい海を撮影しようとトラックを降りて、看板を見て驚きました。


あの、足で踏むと「キュッ、キュッ、」っと音がするという「泣き砂」で有名な「琴ヶ浜」だったんです。


僕、てっきり「鳴き砂」だと思ってました。


調べてみたら「お小夜」という女の人の悲恋の物語が残っていて、その悲しみの泣き声なのだとか。


「琴ヶ浜」という名前は昭和のはじめに付けられたもので、元々は「泣き浜」と書いて、この地の方言である「ごめきはま」と呼ばれていたそうです。


↑地震で「琴ヶ浜」の「琴」の字が割れ落ちてる。


災害復旧のお仕事ですし、その上、お小夜さんの悲しい伝説も知ってしまって、何となく浜に降りて砂を踏む気になりませんでした。


子供の頃、テレビで観て以来、憧れてたんですけど。


でも、またいつか、仕事ではなくここに来よう。この美しい能登の地が復興を遂げたら。


とか、思いました。




明けぬれば せめて泣かすな 小夜の海


                     すなお




【句評】


お小夜さんの悲しい物語を知ったのだから、せめてもの供養に、泣き砂は踏まずにいようという句です。


「泣かすな」は「泣き砂」と、「小夜」は人名と本来の意味「夜」との掛詞(かけことば)になっており、季語はなく、無季俳句となっています。


あまりにも美しい海の風景に、夜が明けたら(復興を遂げたら)もうこれ以上泣かさないでおくれ、能登の海よ、というスノーさんのシャイでおセンチな心情が上手く詠まれています。(「せめて」は古語では「しいて・無理に」の意。)



いかにもそれらしいわぁ〜。(笑)