久しぶりに科学系のYouTubeを観ました。


カリフォルニア大学バークレー校教授、物理学者の野村泰紀博士と、脳科学者、茂木 健一郎氏との対談。


もうね、ほん・・・っとうに面白かった。


一般相対性理論とか、量子力学とか、素粒子理論とか。宇宙論とか。


理論物理学の最先端のほら、何とも言えない不可思議なところとか、あるでしょ?


もはやそれ哲学ですやん、形而上学ですやん、という部分。解釈問題とか、後半には茂木健一郎さんの専門のクオリアや、自由意志についても語られてます。


そういうのが大好きな方は是非々々ご覧下さい。


最新の理論物理学者の感じている世界観が、すごく分かりやすくインタビューされてますよ。





例えば、考えてみると、この世界って信じられないぐらいに上手く出来てるでしょ?


実際、素粒子物理学におけるパラメーター(変数)を一つ変えるだけで、理論上この世界は無くなってしまうのだそうです。


それほどに完璧で緻密な法則性によって形作られた宇宙の中で、太陽から不思議なほどにちょうどいい距離で公転し、調節するかのように自転し、必要な元素をたっぷりと持ち、まるで生命が誕生するために存在するかのような地球という星。


その地球で、まだ定式化されない「進化」という法則性によって生み出された、我々人間という存在。


逆に言えば、まるで人間を誕生させるためにこの宇宙が存在していたと思えても仕方ないんですよね。この考え方を「人間理論」と言うんですけど。


当然、人間理論を肯定すると、「何者が」「何のために」という発想になりますよね。


古代の哲学者たちも、そのまったく反証可能性のない問題にぶち当たった事でしょうね。そしてそのその「何者」かを「神」と呼んだんでしょう。


でも、現代の物理学では、別のアプローチが生まれたんです。


もし、宇宙というものがまるで泡のように、何億、何十億も存在して、それぞれ違う物理法則を備えているとしたら。


何も起こらない宇宙もあり、何もない宇宙もある。その無限に存在する宇宙のなかで、たまたま我々人間が生まれるような物理法則を備え持ったのがこの宇宙だったのではないかと。


確かに、「グレートなサムシング」がこの宇宙や生命を「インテリジェントにデザイン」したのだと考えるより、よほど説得力がある気がします。


そういうアイデアから、近年、盛んに言われる「マルチバース(多元宇宙)理論」が生まれたのだそうです。


何と、他宇宙との干渉の痕跡を探す研究も始まっているそうですよ。


量子力学にも、「この世界のすべての瞬間には、すべての可能性が重なり合わさっていて、それら無限に分岐していく世界は互いに干渉する事なく存在している」という「エヴェレット解釈」「多世界解釈」と呼ばれる学説もあります。


先日の「渡瀬橋」の記事じゃないですけど、「あの時こうしていたら、今頃どうしていただろう?」って考えることは人生で時々ありますけど。(正直、僕はあまりないんですけど。)


人生だけじゃなく宇宙さえも、全ての可能性が導き出す全ての結果が本当は存在していて、互いに干渉することがないっていうのは、この世界をどう捉えるかという点において、ある種コペルニクス的転回だと思います。


すごく人生観に影響を与える、面白い動画でしたよ。



(写真は2020年11月撮影、瀬戸内の夕景です。この美しい宇宙に生まれてよかったな。)