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さて、お弁当が出来上がりましたよ。何日も前から、今日こそは日帰りツーリングに出かけるって決めてたんです。

ごはんの上に鮎の飴炊きと漬けもんをのせただけの質素な弁当ですけど・・・最近はこういうのが一番美味しいんですよね。

おまけにどこか景色のいい所でこんなのを食べたら、最高なんです。

ほんとうにね、幸せっていうのはだいたいこんなところだと思いますよ。自分が好きな事を、すきな時にできる・・・その状況を獲得するためには仕事して、決まりを守って、腹を立てたり、気を使ったり、落ち込んだり、いろいろあるわけですけど。

健康とか、家族の仲がいいとか、好きな事をするのに気分がいい環境っていうのも、意外と日頃の小さな我慢だったり、ちょっとした努力のうえに成り立ってると思います。このあいだ夫婦喧嘩して単車に乗りましたけどあんまり楽しくなかったですもんね。

それらの環境がまあ、つつましいながらもそこそこ出来ていれば、こんなにありがたいことはないですよね。

自分を誇る事だって、出来るってモンです。




妻は仕事に出かけましたし。

子供達はまだ寝てます。




置手紙も書きました・・・。



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そういえば高校卒業当時、バイク好きの友人の事を「『風になってくる』と出かけたっきり、星になってしまいよったらしいで。」という冗談をみんなに言ってたら、本当にその友人の死亡説が流れてしまったことがあったなあ。

同窓会にその友人が来たとき、死亡説を信じていた女の子が、腰を抜かすほどビックリしたと言ってたっけ。

それはまあ、いいんだけど。(←ようないわ)


弁当もカメラもリュックに入れてシートに縛りつけましたから、写真を撮らずにただひたすら走ろうと思いますよ。いつもの黒のジェットヘルメットにサングラス、それから日焼けと虫さんの体当たり攻撃に備えて黒い布で覆面をして、黒の革ジャンを着て・・・まっくろけです。


よし、準備はできた。出発だ・・・。


準備中は頭の中にサヴァイバーの「アイ・オブ・ザ・タイガー」が鳴ってましたけど・・・、キックスタートでエンジンをかけ、ギヤを踏み込んでクラッチをつなげば、僕の心にはいつも、この曲が流れるんです。

オウ~イェ~イ・・・。いつ乗ってもSRの鼓動はいいなあ。

さあ、いくぞ、サイクロン!

さて、どこへ向かおうか。

とりあえず琵琶湖の西がわ、湖西バイパスを北上しました。ここは何年か前から無料なんですけど、70km
/h出せるんです。みんな90km/hとか出してますけどね。

高速巡行していると本当に無心になれます。僕はこの道が大好きです。右手には遠く琵琶湖が見えます。

少し曇り空だけど、テイク・イット・イージーですよ。

雨が降ったら、濡れればいいさ。


高島、今津、マキノ、西浅井を黙々とひた走り、高月町を走っているときです。

もう少し先のトンネルを抜ければ、眼前に琵琶湖が広がるというあたりの国道の路肩を、ロングスケートボードでクルージングする一団とすれ違ったんです。

「おお!ロンスケや!」・・・見た瞬間に、これはただ事ではないと思ったんです。ここ数年、ロングスケートボードにすっかりハマり、暇さえあればそこらの坂道でカービングしたり、ブログに記事を書いたり、好きが高じて米国のスケートブランドから輸入してオークションに出品し、結局あまり売れなくて超特価セールばっかりしてしまったり・・・。

でも、実際に周りでロンスケをやってる人に出会った事がなかったんです。でも、今、すれ違った人達は完全にロングスケートボード好きな人達で、おまけに僕とそれほど年代も変わらない人達だったんです。

今日は写真も撮らずにひたすら走ろうと思っていたけど、これは写真を撮らせてもらわねば!

トンネルを抜けるや、すぐにUターンして、先ほどの一団を追いました。

国道から東に向かう農道に進路をとっていた彼らに追いつくなり、「すんませ~ン!」と声をかけました。

なんせ黒ヘルメットに黒覆面でしたし・・・振り返ったSK8ERたちは一様に不審そうな顔つきでした。

それで、「ロンスケ僕も好きなんですわ~。」と言った瞬間、皆さんの表情が和みました。「写真撮らせてもらっていいですか~?」と言うと、「おお~!いいですよ~。」と、すぐに了承してくださいました。

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どうですか?この人たち、最高にカッコいいと思いませんか?

ご本人さんたちいわく、「ただのおじさんグループなんですよ~。」とのこと。長浜駅から、木之本駅(高月駅だったかも)まで、ロングクルージングを企画されたのだとか。

スッゲエ~!!こんなにオシャレな人たちがいるんだな。僕も、家の近所をクルージングしたりしますけど、こんな仲間で集まって、こんなロケーションで小旅行を楽しんでおられるなんて。

とにかく感激で、一人でベラベラ話してた気がします。ホント、すみませんでした。

でも、みなさん、紳士的でフランクで、本当に気持ちのいい人たちでした。

やっぱりそうだ・・・。こういう粋な事をイキにこなせる状況を作っている人たちって、それなりの経験を積んで、それなりの努力をあたりまえにしている人たちなんだな。そう感じさせるだけの雰囲気がありましたよ。

「グループの名前ってあるんですか?」と聞くと、右端のランドヤッツ・エヴォ2014モデル「ブルーホース」を持っておられるお兄さんが、すこし照れながら「いちおう、『ルート・ライダー』って言うんです。国道をライディングしてるんで・・・。」って・・・。

「ルート・ライダー」ですか・・・。

めちゃくちゃカッコいいですやん!!!

暫時談笑したのち、「それじゃあ。」「いつかどこかで。」と、気持ちのいい別れの言葉を送りあい、この人生の中で、まさに会うべくして会う事が出来たロングスケートボ-ドの同志達を見送りました。

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ヒュウ~!カッコいい~!

やっぱり長い距離をクルージングしてきた人たちだな。すごく力が抜けてて、お互いに話なんかしながら、すごくクールでメロウなプッシュで、あっという間に小さくなっていきました。

いつかどこかで、また必ずあえるような気がする・・・。

カッコいい人たちだったなあ・・・。

よ~し、僕も人生を楽しむぞ。そんなモティベーションを与えてくれるような出会いでしたよ。

ルート・ライダーのみなさん、本当にありがとう。またいつかお会いしましょう。




さあ、それでは、しばらく走って湖岸でお昼ごはんとしましょうか。



結局、米原市の磯まで南下して、裏道の湖岸でお昼ごはんを食べる事にしました。


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ここです。

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例のお弁当・・・。

お茶も入れてきましたし。

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この防波堤にこしかけ、足をブラブラさせながら、お弁当を食べました。ルートライダーのみんなはもう木之本駅に着いたかなあ?などと考えながら。

最高に美味しかったです。もう、なにも要らない・・・。

ほんとうにね、幸せっていうのはだいたいこんなところだと思いますよ。

好きな事がすきな時にできる・・・その状況が、まがいなりにも一応、整っている。

その環境を築いてきたっていう少しばかりの誇りだってある。

これが「悦び」ってヤツなんだろうな。

そう、思いますよ。





このあと、帰りの終盤、琵琶湖大橋で大雨に降られました。

雨が降れば濡れればいいさ、って思ってましたけど・・・黒覆面が雨に濡れたら、引っ付いてまったく息が出来なくなって、大橋を走りながら死にそうになりました。(←あほちゃうか)

やっとの思いで黒覆面をアゴまでおろして息が出来たとき、「ぷはあ~、幸せ!」と思いました。(←しらんがな)

ほんとうにね、幸せっていうのは本当はこんなところだと思いますよ。好きな事(呼吸)がすきな時に出来る・・・。







そう思うと、普通に呼吸して、飯を食って・・・それだけで、充分幸せなのかもしれませんね。